Friday, June 14, 2024

シアトルの初夏 神々による廟議(びょうぎ)

Shrine of the gods




一九一九年二月二十六日 水曜日


──その〝尊き大事業〟というのは何でしょうか。 (訳者注──前回の通信との間に一週間の空白があるのに、いかにもすぐ続いているような言い方をしているのは多分その前に前回の通信についての簡単なやり取りがあったか、それともオーエンがそのように書き改めたかのいずれかであろう)

 それについてこれから述べようと思っていたところです。貴殿も今夜は書き留めることができます。この話題はここ何世紀かの出来ごとを理解していただく上で大切な意味をもっております。

 まず注目していただきたいのは、その大事業は例の天使の塔で計画されたものではないということです。これまでお話した界層よりさらに高い境涯において幾世紀も前からもくろまれていたことでした。

いつの世紀においても、その頭初に神界において審議会が催されると聞いております。
まず過去が生み出す結果が計算されて披露されます。遠い過去のことは簡潔な図表の形で改めて披露され、比較的新しい世紀のことは詳しく披露されます。

前世紀までの二、三年のことは全項目が披露されます。それらがその時点で地上で進行中の出来事との関連性において検討されます。それから同族惑星の聴聞会を催し、さらに地球と同族惑星とをいっしょにした聴聞会を催します。

それから審議会が開かれ、来るべき世紀に適用された場合に他の天体の経綸に当たっている天使群の行動と調和するような行動計画に関する結論が下されます。悠揚せまらぬ雰囲気の中に行われるとのことです。


──〝同族惑星〟という用語について説明してください。


 これは発達の程度においても進化の方向においても地球によく似通った惑星のことです。つまり地球によく似た自由意志に基づく経路をたどり、知性と霊性において現段階の地球にきわめて近い段階に達している天体のことです。

空間距離において地球にひじょうに近接していると同時に、知的ならびに霊的性向においても近いということです。


──その天体の名前をいくつか挙げていただけますか。


 挙げようと思えば挙げられますが、やめておきます。誰でも知っていることを知ったかぶりをして・・・・・・などと言われるのはいやですから。

貴殿の精神の中にそれにピッタリの成句(フレーズ)が見えます──to play to the gallery (大向うを喜ばせる、俗受けをねらう)。もっともそれだけが理由ではありません。同じ太陽域の中にありながら人間の肉眼に映じない天体もあるからです。

それもその中に数えないといけません。さらには太陽域の一ばん端にあって事実上は他の恒星の引力作用を受けていながら、程度においては地球と同族になるものも、少ないながら、あります。それから、太陽域の中──


──太陽系のことですか。


 太陽系、そうです──その中にあってしかも成分が(肉眼に映じなくても)物質の範疇(はんちゅう)に入るものが二つあります。現在の地上の天文学ではまだ問題とされておりませんが、いずれ話題になるでしょう。しかしこんな予言はここでは関係ありません。

 そうした審査結果がふるいに掛けられてから、言わば地球号の次の航海のための海図が用意され、ともづなが解かれて外洋へと船出します。


──それらの審議会においてキリストはいかなる位置を占めておられるのでしょうか。

 それらではなくそのと単数形で書いてください。審議会はたった一つだけです。が会合は世紀ごとに催されます。出席者は絶対不同というわけではありませんが、変わるとしても二、三エオン(※)の間にわずかな変動があるだけです。

創造界の神格の高い天使ばかりです。その主宰霊がキリストというわけです。(※ EON 地質学的時代区分の最大の期間で、億単位で数える──訳者)


──王(キング)ですか。


 そう書いてはなりますまい。違います。その審議会が開かれる界層より下の界層においては王ですが、その審議会においては主宰霊です。これは私が得た知識から述べているにすぎません。実際に見たわけではなく、私および同じ界の仲間が上層界を通して得たものです。これでお分かりでしょうか。もっと話を進めましょうか。


──どうも有難うございました。私なりに分かったように思います。


 それは結構なことです。そう聞いてうれしく思います。それというのも、私はもとより、私より幾らか上の界層の者でも、その審議会の実際の様子は象徴的にしか理解されていないのです。私も同じ手法でそれを貴殿に伝え、貴殿はそれに満足しておられる。結構に思います。

 では先を続けさせていただきます。以上でお分かりのとおり、審議会の主宰霊たるキリストみずからが進んでその大事業を引き受けられたのです。

それは私と共にこの仕事に携わっている者たちの目から見れば、そうあってしかるべきことでした。すなわち、いかなる決断になるにせよ最後の責任を負うべき立場の者がみずから実践し目的を成就すべきであり、それをキリストがおやりになられたということです。

今日キリストはその任務を帯びて地上人類の真只中におられ、地球へ降下されたあと、すでにその半ばを成就されて、方向を上へ転じて父の古里へと向かわれています。

この程度のことで驚かれてはなりません。もっと細かいことをお話する予定でおります。
以上のことは雄牛に突きさした矢印と思ってください。抜き取らずにおきましょう。途中の多くの脇道にまぎれ込まずに無事ゴールへ導くための目印となるでしょう。

脇道にもいろいろと興味ぶかいことがあり、勉強にもなり美しくもあるのですが、今の吾々にはそれは関係ありません。私がお伝えしたいのは地球に関わる大事業のことです。他の天体への影響のことは脇へ置いて、地球のことに話題をしぼりましょう。

少なくとも地球を主体に話を進めましょう。ただ一つだけ例外があります。


火星人 

貴殿は地球以外の天体について知りたがっておられる様子なので、そのうちの火星について述べておきましょう。最近この孤独な天体に多くの関心が寄せられて、科学者よりも一般市民の間で大変な関心の的となっております。そうですね?


──そうです。ま、そう言っても構わないでしょう。


 その原因は反射作用にあります。まず火星の住民の方から働きかけがあったのです。地球へ向けて厖大な思念を送り、地球人類がそれに反応を示した──という程度を超えて、もっと深い関係にあります。

そうした相互関係が生じる原因は地球人類と火星人類との近親関係にあります。天文学者の中には火星の住民のことを親しみを込めて火星人(マーシャン)と呼んでいる人がいますが、火星人がそれを聞いたら可笑しく思うかも知れません。

吾々もちょっぴり苦笑をさそわれそうな愉快さを覚えます。火星人を研究している者は知性の点で地球人よりはるかに進んでいるように言います。そうでしょう?


──そうです。おっしゃる通りです。そう言ってます。


 それは間違いです。火星人の方が地球人より進んでいる面もあります。しかし少なからぬ面において地球人より後れています。私も訪れてみたことがあるのです。

間違いありません。いずれ地上の科学もその点について正確に捉えることになるでしょう。その時はより誇りに思って然るべきでしょう。吾々がしばしば明言を控え余計なおしゃべりを慎むのはそのためです。同じ理由でここでも控えましょう。


──火星を訪れたことがあるとおっしゃいましたが・・・・・・


 火星圏の者も吾々のところへ来たり地球を訪れたりしております。こうしたことを吾々は効率よく行っております。私は例の塔においてキリストの霊団に志願した一人です。

他にもいくつかの霊団が編成され、その後もさらに追加されました。幾百万とも知れぬ大軍のすべてが各自の役目について特訓を受けた者ばかりです。

 その訓練に倣(なら)ってこんどはみずから組織した霊団を特訓します。各自に任務を与えます。

私にとっては地球以外の天体上の住民について、その現状と進歩の様子を知っておくことが任務の遂行上不可欠だったのです。大学を言うなれば次々と転校したのもそのためでした。とても勉強になりました。その一つが〝聖なる山〟の大聖堂であり、もう一つは〝五つの塔の大学〟であり、火星もその一つでした。


──あなたの任務は何だったのか、よろしかったら教えてください。


 〝何だったのか〟と過去形をお使いになられました。私の任務は現在までつながっております。今夜、ここで、こうして貴殿と共にそれに携わっております。その進展のためのご援助に対してお礼申し上げます。
                                    アーネル ±

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