Friday, June 21, 2024

シアトルの初夏 人類の数をしのぐ天界の大軍

The great army of the heavens that outnumbers mankind


 一九一九年三月五日 水曜日

 これまでお話したことは天界の大事業について私が知り得たかぎり、そして私自身が体験したかぎりを叙述したものです。それを大ざっぱに申し上げたまでで、細かい点は申し上げておりません。

そこで私はこれより、吾々が地上へ向かって前進しそして到着するまでの途中でこの目で見た事柄をいくつかお伝えしようと思います。が、その前に申し上げておきたいことがあります。それは──

 作戦活動としての吾々の下降は休みなく続けられ、またそれには抗し難い勢いがありました。一度も休まず、また前進への抵抗が止んだことも一度もありませんでした。

吾々霊団の団結が崩されたことも一度もありませんでした。下層界からのいかなる勢力も吾々の布陣を突破することはできませんでした。しかし個々の団員においては必ずしも確固不動とはいえませんでした。

地上の概念に従って地上の言語で表現すれば、隊員の中には救助の必要のある者も時おり出ました。救出されるとしばし本来の住処で休息すべく上層界へと運ぶか、それとも天界の自由な境涯においてもっと気楽で激しさの少ない探検に従事することになります。

 それというのも、この度の大事業は地球だけに向けられたものではなく、地上に関係したことが占める度合は全体としてはきわめて小さいものでした。

吾々が参加した作戦計画の全体ですら、物的宇宙の遠い片隅の小さな一点にすぎませんでした。大切なのは(そうした物的規模ではなく)霊的意義だったのです。

すでに申し上げたとおり地上の情勢は地球よりかなり遠く離れた界層にも影響を及ぼしておりましたが、その勢いも次第に衰えはじめており、たとえその影響を感じても、一体それは何なのか、どこから来るのか分からずに困惑する者もいたほどです。

しかし他の惑星の住民はその原因を察知し、地球を困った存在と考えておりました。たしかに彼らは地球人類より霊的には進化しています。

ですから、この度の問題をもしも吾々のようにかって地上に生活して地上の事情に通じている者が処理せずにいたら、恐らくそれらの惑星の者が手がけていたことでしょう。

霊的交信の技術を自在に使いこなすまでに進化している彼らはすでに審議会においてその問題を議題にしておりました。彼らの動機はきわめて純粋であり霊的に高度なものです。

しかし、手段は彼らが独自に考え出すものであり、それは多分、地球人類が理解できる性質のものではなかったでしょう。そのまま適用したら恐らく手荒らにすぎて、神も仏もあるものかといった観念を地球人に抱かせ、今こそ飛躍を必要とする時期に二世紀ばかり後戻りさせることになっていたでしょう。

過去二千年ばかりの間に地上人類を導き、今日なお導いている人々の苦難に心を痛められる時は、ぜひそのこともお考えになってください。

 しかし、彼らもやがて、その問題をキリストみずからが引き受けられたとの情報がもたらされました。すると即座に彼らから、及ばずながらご援助いたしましょうとの申し出がありました。

キリストはそれを受け入れられ、言うなれば予備軍として使用することになりました。彼ら固有のエネルギーが霊力の流れにのって送られてきて吾々のエネルギーが補強されました。それで吾々は大いに威力を増し、その分だけ戦いが短くて済んだのでした。

 これより細かいお話をしていく上においては、ぜひそうした事情を念頭においてください。これからの話は、過去の出来ごとの原因の観点から歴史を理解する上で参考になることでしょう。

将来人間はもっと裏側から歴史を研究するようになり、地上の進歩の途上におけるさまざまな表面上の出来ごとを、これまでとはもっと分かり易い形でつなぎ合わせることができるようになるでしょう。

 人間が吾々霊的存在とその働きかけを軽く見くびっているのが不思議でなりません。と言うのは、人類は地球上に広く分布して生活しており、その大半はまだ無人のままです。全体からいうとまだまだきわめて少数です。それに引きかえ吾々は地球の全域を取り囲み、さらに吾々の背後には天界の上層界にまで幾重にも大軍が控えております。

それは大変な数であり、またその一人ひとりが地上のいかなる威力の持ち主よりも強烈な威力を秘めているのです。

 ああ、いずれ黎明の光が訪れれば人類も吾々の存在に気づき、天界の光明と光輝を見出すことでしょう。そうなれば地球も虚空という名の草原をひとり運行(たび)する佗しさを味わわなくてすむでしょう。

あたりを見渡せば妖精が楽しげに戯れていることを知り、もはや孤独なる存在ではなく、甦れる無数の他界者と一体であり、彼らは遥か彼方の天体上──夜空に見えるものもあれば地上からは見えないものもありますが──の生活者と結びつけてくれていることを知るでしょう。

しかしそれは低き岸辺の船を外洋へと押し出し、天界へ向けて大いなる飛躍をするまでは望めないことでしょう。
  アーネル ±

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