Wednesday, November 27, 2024

シアトルの晩秋 通信霊シルバーバーチについて

About Silver Birch, the Spirit of Correspondence



〔高級霊団から使命を仰せつかったシルバーバーチが、地上圏での活動の準備と開始に至るまでの経緯について語る。〕


ずいぶん前の話になりますが、他の多くの指導霊と同じように私も地上圏に降りて協力者の一団を集め、霊的メッセージを地上界へ届ける仕事を引き受けてくれないかとの懇請を受けたとき、私はそれを使命としてお引き受けしました。

そのためには、メッセージを受け取ってくれる霊媒を探し出す必要があることも知らされました。そこで私は霊界の記録簿を調べ、この霊媒に白羽の矢を立てました。


訳注――霊界の記録簿とは地球圏の記憶の層のことで、「生命の書」とか、サンスクリットを英語読みにして「アカシック・レコード」などと呼ぶこともある。なお、チャネラーを自称する人の中にはいとも簡単に読み取れるような態度で語る人がいるが、高級霊にして初めて可能なことであり、肉体に包まれている人間にはまず不可能と断言しておきたい。

それは、この霊媒がまだ母胎に宿る前の話です。私は彼が母胎に宿る一瞬を注意深く待ち、いよいよ宿って自我を発現し始めた瞬間――と言っても、まだほのかな明かり程度のものにすぎませんでしたが――から私なりの影響力を行使し、今日まで続いている一体関係がその時から始まったのです。

私はこの人間の霊とその小さな精神の形成に関与しました。誕生後も日常生活のあらゆる側面を細かく観察し、互いの一体関係を促進し、物の考え方や身体上の癖を呑み込むように努めました。つまり私は、この霊媒を霊と精神と肉体の三面から徹底的に研究したわけです。

次に私がしなければならなかったことは、この霊媒を霊的真理の理解へ向けて指導することでした。まず、地上の宗教を数多く勉強させました。そして最終的には彼はそのいずれにも反発を覚えて、いわゆる無神論者になってしまいました。が、それはそれなりに当人の精神的開発にとって意味があったのです。これで「霊言霊媒」となるべき一通りの準備が整いました。

ある日、私は周到な準備のもとに初めて彼を交霊会へ出席させ、彼の口を使って私の意思を発言してみました。いかにもぎこちなく、内容もつまらないものでしたが、私にとっては実に意義深い体験だったのです。

その後は回を追うごとにコントロールがうまくなり、今ではご覧の通りにまでなりました。今はこの霊媒の潜在意識に邪魔されることなく、私の考えを百パーセント伝えることができます。

ここで私自身の使命についてお話ししたいと思います。先ほど申した通り私はさる筋から使命を仰せつかったのですが、そのときこう言われたのです。「使命を果たすためには、あなたは物質界まで降りなければなりません。そして適当な道具(霊媒)を見つけてから、その霊媒と霊的に親近性のある人間を数名選び出し、その霊媒を通してあなたがメッセージを語る場を用意しなくてはなりません。」その言葉通り、私がここへ、あなた方を導いたのです。

私にとっての最大の問題は、物理的心霊現象を演出するか、それとも教えを説く、つまり霊的真理を説くか、この二つのどちらを選ぶかということでした。そして私は、あえて困難な後者を選びました。

私はその使命をお引き受けしたとき、こう言いました――「これまでの長い霊界生活における多種多様な体験を携えて地上圏へ戻り、慈しみの心で人間に接してみます。まず何よりも理性に訴えたい。霊的に進化し、成熟した魂の持ち主に訴えてみたい。霊界からのメッセージをできるだけ単純明快な形で説き明かすべく努力します」と。

また、こうも言いました――「人間の理性が反発を覚えるようなことは絶対に述べないことにしたい。慈しみの心で接し、怒りをもって諌(いさ)めることだけは絶対にすまい。自ら公言している通り自分が確かに大霊の使者であることを、教訓と模範と実際の行為によって証明したい」と。

さらに私は、地上時代の姓名を絶対に明かさないという重荷を自ら背負いました。仰々しい名前や称号・地位・名声は持ち出さず、私が述べることと態度で私という存在を判断してもらいたいと思ったのです。

実は前回の会合で神庁の高級霊たちとお会いしたのですが、その席上で私はお褒(ほ)めの言葉をいただき、使命が順調に進捗(ちょく)していることを聞かされました。その言葉に、私は思わず感激の涙を流しました。しかし、使命が終わったわけではありません。まだまだ為さねばならないことがあります。


訳注――モーゼスの『霊訓』にも出てくることであるが、霊界では一年に二回、地上のクリスマスとイースターに相当する時期に、地球圏で指導霊として活動している霊が一堂に会して、反省と今後の方針についての指示を受けるという。そのときの主宰霊が地上で“イエス”と呼ばれた人物である。

私の霊団と同じ仕事に携わっている他の霊団による尽力もあって、あなた方の世界ではかつてよりも多くの光明が射し、幸せが生まれ、悲しみが減り、涙が流されることが少なくなりました。死についての無知が、わずかながら克服されたことを意味します。

また、私たちは多くの魂を鼓舞して、日常生活において高度な自我を自覚させました。正義と真理についての目を曇らせてきた数々の間違った概念を駆逐しました。長年にわたって地上界を毒し続け、愚行によって理性を辱(はずかし)めてきた教義(ドグマ)の牢獄から多くの人々を解放しました。

私たちは、特定の者だけをかわいがり、憤怒(ふんぬ)に燃えて報復したり、疫病をまき散らしたりする神に代わって、慈しみと叡智の始原としての大霊の概念を説くことに努め、それはある程度まで成功しました。また、ナザレのイエスを(唯一の神の子としてではなく)偉大なる人間の模範として示そうと努めてきました。そして多くの人々が、私たちの説く教えを理解してくれるようになりました。

確かに大きな成果をあげることができましたが、これから為さねばならない、もっと大きな仕事があります。地上世界にはいまだに、あってはならない戦争が存在します。もしも私たちが説く真理を理解し、日常生活に生かすなら、殺し合いなどなくなるはずです。

飢餓もあります。大霊は十分な恵みを与えてくださっているのに、新鮮な空気も太陽の光も入らない粗末なあばら家で、生きるか死ぬかの生活を余儀なくされている人々がいます。困窮(こんきゅう)と悲嘆と苦痛が多すぎます。廃絶すべき迷信が数多く存在します。心を痛めている人が多すぎます。根絶すべき病気があります。私たちの仕事は、まだ終わっていません。

私たちはこれまでの成果を喜ぶと同時に、あなた方の協力を得て、さらに多くの奉仕(サービス)を成し遂げるための力を授かりたいと願っています。

私は、この地上へ私を派遣した高級霊団のマウスピース(本来は楽器の吸い口ないしは電話機の送話口のことで、転じて「代弁者」の意――訳注)にすぎず、私という一個の存在としての栄誉とか褒賞を求める気持ちはみじんもありません。誇大に宣伝したり地上時代の偉そうな人物名を名乗ったりする趣味も持ち合わせていません。私はただ、これまで申し上げたような霊的真理、長いあいだ忘れ去られていた真理に改めて「神の真理」のシールを貼って、こうして地上界へお届けするための道具であることに喜びを感じているのです。

私の役目は、私が所属する霊団からのメッセージをお届けすることです。この霊媒と私自身の力量の範囲内で受け取ったものを、忠実に伝達する努力を続けてまいりました。私はただ、お役に立てばそれでよいのです。もしも私がお伝えするささやかな教えが、人生の嵐の中にあるたった一個の魂にとっての安らぎとなり、疑念の嵐をくぐり抜けてきたあとの真理の避難所となれば、あるいはまた、こうした素朴な霊的真理の聖域の中に幸せと生き甲斐を見いださせてあげることになれば、父なる大霊から仰せつかった使命の幾ばくかを成就したことになりましょう。

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