Thursday, January 19, 2023

シアトルの冬 「天国では嫁を貰うとか嫁にやるとかいうことはなく、すべて神の使いとして暮らすのみである」


"In heaven, there is no such thing as getting a wife or giving daughter to a wife, they just live as messengers of God."

モーゼスの「霊訓」


〔しばしば交霊会に出現していた夫婦の霊が、別の仕事の境涯へ向上して行ったと聞いていたので、夫婦の絆は永遠のものかどうかを尋ねた。〕

 それはひとえに霊的嗜好の類似性と霊格の同等性による。その両者が揃えば二者は相寄り添いて向上できる。われらの世界には共通の嗜好をもつ者、同等の霊格をもち互いに援助し合える者同士の交わりがあるのみである。われらの生活においては魂の教育が全てに優先し、刻一刻と進化している。同質でなければ協同体は構成されぬ。

したがって当然互いの進化にとって利益にならぬ同士の結びつきは長続きせぬ。地上生活において徒らに魂を傷つけ合い、向上を妨げるのみであった夫婦の絆は、肉体の死と共に終わりを告げる。

逆に互いに支え合い援助し合う関係にあった結びつきは、肉体より解放されたのちも、さらにその絆を強め発展していく。そして二人を結ぶ愛の絆が互いの発展を促す。かくの如く両者の関係が永続するのは、それが地上で結ばれた縁であるからというのではなく、相性の良さゆえに、互いが互いの魂の教育に資するからである。

かくの如き結婚の絆は不滅である。ただしその絆は親友同士の関係程度の意味である。それが互いの援助と進化によって一層強化されていく。

そして互いに資するところがあるかぎり、その関係は維持されていく。やがてもはや互いに資するものがなくなる時期が到来すると、両者は分かれてそれぞれの道を歩み始める。そこにはなんの悲しみもない。なぜなら相変わらず心を通じ合い、霊的利益を分かち合う仲だからである。

もしも地上的縁が絶対永遠のものであるとすれば、それは悲劇までも永遠であることを意味し、向上進化が妨げられることになる。そのような愚行は何ものにも許されていない。


───それは分かります。しかし私の観たかぎりでは、知的にも道徳的にも同等とは思えない者同士が互いに深く愛し合っているケースがあるように思えるのですが。

 愛し合う者同士を引き裂くことは絶対に出来ぬ。汝らはとかくわれら霊同士の関係を時間と空間の観念にて理解せんとするが故に納得がいかぬのである。霊同士は汝らの言う空間的に遠く離れていても親密に結び合うことが出来るということが理解できぬであろう。

われらには時間も空間も存在せぬ、われらは知性の発達程度が完全に同一でない限り直接の交流は有り得ぬ。それはわれらには全くあり得ぬことなのである。が、たとえわれらの言う同一の発達程度まで到達していなくても、真実の愛があれば、その絆によって結ばれることは可能である。

愛は距離をいかに隔てても霊同士を強く結びつける。それは地上に置いても見られることである。離ればなれになった兄弟も、たとえ海を隔てて、別れて何年経ようとも、兄弟愛はいささかも失われぬ。求めるものは異なるかも知れぬ。

物の考え方も違うであろう。が共通の愛は不変である。夫に虐待され死ぬ思いに耐えつつ、なおその夫を愛し続ける妻もいる。

 肉体の死は妻をその虐待の苦しみから救ってくれる。そして天国へと召される。一方地上の夫はさらに地獄の道を下り続けるであろう。が、たとえ二人二度と結ばれることはなくとも、夫への妻の愛は不滅である。その愛の前に空間は消え失せるのである。

われらにとっても空間は存在せぬ。これでも汝は朧気(おぼろげ)ながらも理解が行くことと思うが、われらにとっての結合関係とは発達程度の同一性と、嗜好の共通性と、進化の協調性を意味するのであり、汝らの世界の如き一体不離の関係などというものは存在せぬ。


───では聖書の「天国では嫁を貰うとか嫁にやるとかいうことはなく、すべて神の使いとして暮らすのみである」という言葉は真実ですか。

 その言葉どおりである。先にわれらは進歩の法則と交わりの法則について述べたが、その法則は不変である。現在の汝にとって立派と思えることも、肉体の死とともに捨ててしまうであろうことが数多くある。地上という環境が汝の考えを色づけしているのである。

よってわれらとしても、比喩を用い、地上的表現を借りて説明せざるを得ぬことが多々ある。それ故われらの世界にのみ存在して汝らの世界に存在せず、現在の汝の知識を超越し、従って地上の言語によって大凡のことを伝えるほかなき事情のもとで用いた字句にあまりこだわりすぎてはならぬわけである。

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