Wednesday, September 11, 2024

シアトルの初秋 シルバーバーチとは何者か

森の静けさの中に、その風のささやきの中に、小鳥のさえずりの中に、風に揺れる松の枝に、寄せては返す潮の流れに、花の香に、虫の音に神の存在を見出しましょう。

Let us find God's presence in the stillness of the forest, in the whisper of its wind, in the chirping of its birds, in the branches of its pine trees swaying in the wind, in the ebb and flow of its tides, in the fragrance of its flowers, and in the sound of its insects.




 
「私は荒野に呼ばわる声です(※)。神の使徒以外の何者でもありません。私が誰であるかということが一体何の意味があるのでしょう。私がどの程度の霊であるかは私のやっていることで判断していただきたい。

私の言葉が、私の誠意が、私の判断が、要するにあなた方人間世界における私の仕事が暗闇に迷える人々の心の灯となり慰めとなったら、それだけで私はしあわせなのです」(※マタイ3・3。世に容れられない警世家、革命家などのこと───訳者)

 これはある日の交霊会でメンバーの一人がシルバーバーチの地上での身元について尋ねた時の答えである。シルバーバーチがインディアンではないこと、本来の高遠の世界と地上との間の橋わたしとして一人のインディアンの幽体を使用しているところの、高級霊団の最高指揮者であるということまでは、われわれにも知れている。が、これまで好奇心から幾度地上時代の実名を尋ねても、まだ一度も明かしてくれていない。

ラベルよりも仕事の成果の方を重んじるのである。自分個人に対する賞賛を極度に嫌い、次のように述べる。

 「私は一介の神の僕に過ぎません。今まさに黎明を迎えんとしている新しい世界の一役を担う者として、これまで忘れ去られてきた霊的法則を蘇らせるために私を地上へ遣わした一団の通訳にすぎません。

私のことをいつもマウスピース(代弁者)としてお考えください。地上に根付こうとしている霊力、刻一刻と力を増しつつある霊の声を代弁しているに過ぎません。私の背後には遠々と幾重にも連なる霊団が控え、完全なる意志の統一のもとに、一丸となって協調体制で臨んでおります。

私がこの霊媒(バーバネル)を使用するごとくに彼らも私を使用し、永い間埋もれてきた霊的真理───それが今まさに掘りおこされ無数の男女の生活の中で、本来の場を得つつあるところですが───それを地上の全土に広げんとしているのです」

───でも私達にとって、あなたは単なる代弁者の声では無く実在の人物です。

 「私は別に私には個性がないと言っているわけではありません。私にもちゃんと個性はあります。ただ、こちらの世界では〝協調〟ということが大原則なのです。一つの大きなプランがあり、それに従って共通の利益のために各自が持てるものを貢献し合うということです。

身分の高いも低いもありません。あるのはそれまでに各自が積み上げてきた霊的成就の差だけです。開発した霊的資質と能力を自分より恵まれない人のために惜しみなく活用し、代わってその人たちも自分より恵まれない人のために持てるものを提供する。かくして地上の最低界(※)から天界の最高界に至るまで連綿として強力な霊的影響力の輪がつながっているのです」

(※地獄のこと。地上の人間から見れば他界した者はすべて〝あの世〟の人間、つまり霊界の所属のように考えがちであるが、それは目に見えない存在となったからそう思えるまでのことで、霊的な程度の点ではその大半が地上圏に属しており、霊界側からみれば肉体のあるなしに関係なく〝地上の人間〟であることに変わりはない。

モーゼスの『霊訓』のイムペレーター霊は宇宙を大きく三層に分類し、最下層の煉獄の七つの界の最高界が地上で、次に試練の中間層がやはり七界つづき、その後に真の実在界が存在するという。その究極の到達点はいかなる霊にも知り得ないと述べている──訳者)


───地上もそういうことになれば素晴らしいことですね。

 「いずれはそうなるでしょう。神の意志は必ずや成就されていくものだからです。その進行を邪魔し遅らせることはできます。しかし、その完成・成就を阻止することはできません」

 この件に関して別の交霊界で次のように述べている。

 「私はこれまであなた方の友として、守護者として、指導者として接してまいりました。いつもすぐ側に待機していること、私がいかなる霊格を具えた存在であろうとそれはあなた方人間との親密な接触を妨げることにならないこと、あなた方の悩みや困難に関心を抱き、できうる限りの援助の手を差しのべる用意があることを知っていただきたいと思ってまいりました。

 よろしいですか。私は確かに一方では永遠の真理を説き霊力の存在を明かさんとする教師的存在ですが、他方、あなた方お一人お一人の親しい友人でもあるのです。あなた方に対して親密な情愛を抱いており、持てる力で精一杯お役に立ちたいと努力いたしております。

どうか、困ったことがあれば、どんなことでもよろしい、いつでもよろしい、この私をお呼びください。もし私にできることであればご援助しましょう。もし私に手出しできないことであれば、あなた方みずからが背負わねばならない試練として、それに耐えていくための力をお貸しいたしましょう」


 さらに別の機会にこう語っている。

 「これまでの永い霊界での生活、向上・進化を目指して励んできた魂の修行の旅において私がみずから学んできたこと、あるいは教わったことはすべて、愛の心を持って快く皆さんにお教えしております。

そうすることを神がお許しになると信じるからです。ではその動機とは何か───それは、私のこうした行為を通じて私があなた方に対していかに情愛を感じているか、いかにあなた方のためを思っているかを分かっていただき、そうすることによって、あなた方の背後に控えている力には神の意図が託されていること、霊の豊かさと実りを何とかしてもたらしてあげようとしている力であることを認識していただくことにあります。

要するにあなた方への愛がすべてを動かし、神から発せられるその愛をあなた方のために表現していくことを唯一の目的といたしております。

 私たち霊団の者は功績も礼も感謝も一切求めません。お役に立ちさえすれば良いのです。争いに代わって平和を見ることが出来れば、涙にぬれた顔に代わって幸せな笑顔を見ることができれば、病と痛みに苦しむ身体に代わって健康な身体を見ることができれば、悲劇を無くすことができれば、意気消沈した魂に巣くう絶望感を拭い去ってあげることができれば、それだけで私たちは託された使命が達成されつつあることを知って喜びを覚えるのです。

 顧わくは神の祝福のあらんことを。顧わくは神の御光があなた方の行く手を照らし給い、神の愛があなた方の心を満たし給い、その力を得て代わってあなた方がこれまで以上に同胞のために献身されんことを切に祈ります」

 このようにシルバーバーチは自分自身ならびに自分を補佐する霊団の並々ならぬ情愛をよく披瀝する。盛夏を迎え、これでしばし閉会となる最後の交霊会で次のような感動的な別れの挨拶を述べた。

 「この会もこれよりしばらくお休みとなりますが、私たちは無言とはいえすぐ側で引き続きあなた方とともにあって、可能なかぎりインスピレーションと力と導きをお授けいたします。

一日の活動が終わり、夜の静寂を迎えると、あなた方の魂は本来の自分を取り戻し、物質界の乱れたバイブレーションを後にして───ほんの束の間ですが───本当の我が家へ帰られます。その時あなた方は私たちとともに、いつの日か恒久的にあなた方のものとなる喜びのいくつかを体験されます。

 しかし、これまでの努力のお陰でこうして数々の障壁をのり越えて語り合えるとはいえ、私たちはふだんは物質というベールによって隔てられておりますが、いついかなる時も身近にいて、情愛を持って力になってあげていることを知ってください。

私たちがお持ちする力は、宇宙最高の霊力であることを心強く思ってください。私たちはもっとも身近にして、もっとも親密な存在である、あなた方のために尽くすことによって、神に仕えんとする僕に過ぎません。

 私のことを、ほんの一、二時間のあいだ薄明かりの中でしゃべる声ではなく(交霊会では照明を弱くする───訳者)、いつもあなた方の身のまわりにいて、あなた方の能力の開発と霊的進化のために役立つものなら何でもお持ちしようとしている、躍動する生命に溢れた生きた存在とお考えください。

語る時はこうして物的感覚(聴覚)に訴える方法しかないのは間どろこしいかぎりですが、私はいつも身近に存在しております。必要な時はいつでも私をお呼びください。私にできることであれば喜んで援助いたしましょう。私が手を差しのべることを渋るような人間でないことは、皆さんはもうよくご存知でしょう。

 樹木も花も、山も海も、小鳥も動物も、野原も小川も、その美しさを謳歌するこれからの夏を満喫なさってください。神を讃えましょう。神がその大自然の無限の変化に富む美しさをもたらしてくださっているのです。その内側で働いている神の力との交わりを求めましょう。

森の静けさの中に、その風のささやきの中に、小鳥のさえずりの中に、風に揺れる松の枝に、寄せては返す潮の流れに、花の香に、虫の音に神の存在を見出しましょう。

 どうか、そうした大自然の背後に秘められた力と一体となるようにつとめ、それを少しでも我がものとなさってください。神はさまざまな形で人間に語りかけております。教会や礼拝堂の中だけではありません。予言者や霊媒を通してだけではありません。数多くの啓示が盛り込まれている聖典だけではありません。

大自然の営みの中にも神の声が秘められているのです。大自然も神の僕です。私はそうしたさまざまな形───語りかける声と声なき声となって顕現している神の愛を皆さんにお伝えしたいのです」

 こう述べたあと最後に、これまでサークルとともに、そしてサークルを通して世界中の人々のために推進してきた仕事における基本的な理念を改めて説いて会を閉じた。

 「私はあなた方が愛の絆によって一丸となるように、これまでさまざまな努力をしてまいりました。より高い境涯、より大きな生命の世界を支配する法則をお教えしようと努力してまいりました。
 
また、あなた方に自分という存在についてもっと知っていただく───つまり(霊的に)いかに素晴らしくできあがっているかを知っていただくべく努力してまいりました。さらに私はあなた方に課せられた責任を説き、真理を知るということは、それを人のために使用する責任を伴うことをお教えしてまいりました。

宗教的儀式のうわべの形式に捉われずに、その奥にある宗教の核心、即ち援助を必要とする人々のために手を差しのべるということを忘れてはならないことを説いてまいりました。

絶望と無気力と疑問と困難に満ちあふれた世界にあって私はあなた方に霊的真理を説き、それをあなた方がまずみずから体現することによって同胞にもその宝を見出させ、ひいては人類全体に幸福をもたらすことになる───そうあってほしいと願って努力してまいりました。

 私はかつて一度たりとも卑劣な考えを起こさせるような教えを説いたことはありません。一人たりとも個人攻撃をしたことはありません。私は終始〝愛〟をその最高の形で説くべく努力してまいりました。

私は常に人間の理性と知性に訴えるように心掛け、私たちの説く真理がいかに厳しい調査・探求にも耐えうるものであることを主張してまいりました。

そうした私に世界各地から寄せられる温かい愛念を有難く思い、私の手足となって仕事の推進に献身して下さるあなた方サークルの方々の厚意に、これからも応えることができるよう神に祈りたいと思います。

 間もなく私は会を閉じ、通信網を引っ込めます。ふたたび皆さんとお会いできる時を大いなる期待をもって心待ちに致しましょう。もっとも、この霊媒の身体を通して語ることを中止するというまでです。決して私という霊が去ってしまうわけではありません。

もしもあなた方の進む道を影が過(よぎ)るようなことがあれば、もしも何か大きな問題が生じた時は、もしも心に疑念が生じ、迷われるようなことがあれば、どうかそれらは実在ではなく影にすぎないことをご自分に言い聞かせることです。羽をつけて一刻も早く追い出してしまうことです。

 忘れないでください、あなた方お一人お一人が神であり、神はあなた方お一人お一人なのです。この物的宇宙を顕現せしめ、有機物・無機物の区別なく、あらゆる生命現象を創造した巨大な力、恒星も惑星も、太陽も月も生み出した力、物質の世界に生命をもたらした力、人類の意識に霊の一部を宿らせた力、完璧な法則として顕現し、すべての現象を細大漏らさず経綸しているところの巨大な力、その力はあなた方が見放さないかぎりあなた方を見放すことはありえません。

その力を我が力とし、苦しい時の隠れ場とし、憩いの場となさることです。そして、いついかなる時も神の衣があなた方の身を包み、その無限の抱擁の中にあることを知ってください。

 シルバーバーチとお呼びいただいている私からお別れを申し上げます───ごきげんよう」
      

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