Wisdom of Silver Birch
「私がしつこいほどみなさんに申し上げていることは、われわれは一人でも多くの人に手を差しのべなければならないということです」───こう述べてシルバーバーチは霊界の計画が世界的規模で推進されていることを指摘する。
「私たちが携えてきたお土産をよくご覧になって下さい。いつまでも色褪せることのない、目も眩まんばかりの宝ものばかりです。その光輝はいつまでも輝き続けます。われわれのしていることに目を向けはじめる人の数がますます増えつつあります。莫大な規模の計画が用意され、われわれもその一部が割り当てられております。
克服しなければならない困難があることでしょう。取り除くべき障害物もあることでしょう。が、われわれ戦勝軍はひたすらに前進し続けております。
長いあいだ圧制し続けた勢力も今となってはもうわれわれを圧制できなくなっております。過去幾世紀にもわたってわれわれに抵抗してきた勢力───正直に言わせていただけば唯物主義者と神学に凝り固まった宗教家たちは、全て退却の一途を辿りつつあります。
彼らの内部において混乱が生じ、時代とともに信じる者の数が減少の一途を辿っております。それにひきかえ、われわれはますます勢力を強めていきつつあります。真理、神の真理、永遠の真理が味方だからです。それを武器とした戦いに敗戦は決してありません。
時に後退のやむなきに至ることがあるかも知れません。が、それも一時のことです。そのうちきっと失地を取り返し、結局は前進の一途を辿ります。この仕事に携わる人に私が決して絶望しないように、決して懐疑の念を抱かぬように、決して恐れないようにと申しあげるのはそのためです。
あなた方の背後に控える霊の力は、あなた方の想像も及ばないほど強力にして威厳に満ちているのです。前途に立ちはだかるものが何であろうと、困難が如何なるものであろうと、いつかは必ず取り除かれ、計画の推進とともに真理普及に必要なものは必ず授かります」
ここで古くからのメンバーで第二次大戦に出征して無事生還した人がシルバーバーチに礼を述べた。実はこの人が出征する前───Dデー(※)の前から───シルバーバーチはこの方は真理普及のために必ず生きて帰りますと語っていたのである。(※連合軍による北フランス攻略開始日すなわち一九四四年六月六日のこと──訳者)礼を言われたシルバーバーチはこう語った。
「そのことに関連して、私がなぜあなたのように私のもとに導かれてきた方に特別の関心をもつかを説明いたしましょう。(たとえ戦争の最中といえども)ものごとには偶然というものはないということです。特に私たちが携わっているこの仕事に関しては明確にそれが言えます。
途轍もなく大きな仕事がわれわれの双肩にかかっているのです。われわれの一人一人が地上世界の新生のための役割を授かっているのです。
いつの時代にも地上に霊的真理が途絶えることのないように遠大な計画が推進されております。その計画の基礎はすでに確固たるものが出来あがっております。烈しい抵抗にあっても、悪口雑言の中にあっても、誤解されても、新しい真理の広がることを快く思わぬ者による敵意を受けながらも、霊の力は着々と地上に注がれつつあります」
「決して新しい真理ではないでしょう」 と兵役から戻ってきたメンバーが言うと、
「全ての真理と同じく、これも新しく且つ古いものです。まったくオリジナルなものという意味での新しい真理は存在しません。表現の仕方において新しいということはできます。つまり一点の疑問の余地もないまでに立証する証拠を伴っているという意味では新しいと言えます。
霊的真理に実証的事実を添えたということです。かつては霊的真理は霊的手段によって理解するのみでした。それが今あなた方の時代においては物質の世界に身を置く者による挑戦に同じレベルで対処できるようになった───つまり霊的真理が五感によってその真実性を立証されることになったわけです。その意味で新しいわけです」
「それもそうですが、イエスは二千年前に今日の霊媒が見せている実際の証拠を数多く見せています」
「それは二千年前の話です。あなたはそうした現象に対して異常なほど懐疑的な人間の多い時代に生きておられます。その懐疑的な人間の中にはキリスト教界でもきわめて名の知られた方もいます。彼らはひそかに、ときには公然と、バイブルの中の霊的事象を必ずしも信じていないことを認めております」
「懐疑的になるのも已むを得ないとは思われませんか」
「思います。私は決して正直に疑う人を非難しているのではありません。もともと神は人間に理性的判断を賦与しております。それは日常生活において行使すべく意図された神からの授かりものです。理性を抑圧して理不尽なものを信じさせようとする者は光明へ逆らって生きていることになります。
理性に従う人間はその過程がいかに苦痛でいかに困難であろうと、そして又その結果、神聖にして侵すべからざるものと教え込まれた聖典に記されているものを放棄せざるを得なくなったとしても、少なくとも自分には正直であると言えます。
(バイブルの時代においても) 霊的真理を現象によって実証し、見る目を持つ者、聞く耳を持つ者、触れる手を持つ者に一点の疑いもなく霊的真理の実在性を納得させようとの計画があったのです。
現に、交霊会での現象はバイブルの中の現象の多くを確認させております。もっとも全てが一致することは望めません。なぜなら、よくご存知の通り、バイブルは真理に身を捧げるのとは別の魂胆を持つ者の手によって骨抜きにされ、改ざんされてしまっているからです。
われわれの目的は言わば宗教のリハビリテーションです。宗教を無味乾燥で不毛の神学論争から救い出すことです。
宗派間のいがみ合いから救い出し、教理上の論争を超越して、実証的事実の基盤の上に真の宗教を確立し、霊界からの啓示を今ますます増えつつある霊媒を通して地上に普及させ、あらゆる地域の人類に神が今なお働いていること、その恩寵は決して過去の時代にかぎられたものでなく、今日でも、どこにいようと、誰であろうと、同じ恩寵に浴することができることを知らしめる───そういう計画があるのです」
「その霊的知識が地上に普及されたあともなお、地上と霊界とのつながりは続くのでしょうか」
「続きます。水門が開かれればどっと水が流れ込みます。そして同時に、その水門が閉じられないようにしなければなりません。霊媒というチャンネルが増えれば増えるほど霊的真理という活力あふれる水が地上へ流れ込みます。霊力にはかぎりがありません。
霊は無限の可能性を秘めているからです。霊的真理を渇望する者が増え、必死に近づかんとすれば、それに呼応してより多くの霊力が注がれ、それまで恩恵に与(あずか)っていない知識と叡知とが視界に入るようになることでしょう。
その霊的知識────目新しいものもあり革命的といえるものもありますが───人生をその霊的知識に忠実に送れば、世の中は次第に改善されてまいります。無用の長物や目ざわりなものが取り除かれ、精神と霊と身体とがより大きな自由を享受できる世の中となります。
不平等が減り、生活に豊かさが増し、人間の存在に尊厳と威信と気高さが増します。自己の霊性を自覚したことによる結果にほかなりません。
これが未来像なのです。その目的に向かって、人間の難問を解決し悪の要素を取り除くために援助せんとする崇高なる霊が大ぜい待機しているのです」
このあと出された質問に答えて、右と同じ主題をさらに敷衍してこう述べた。
「人間にとって最も大切なことに関して革命的要素をもつ知識が次第に受け入れられ、欠乏、飢餓といった問題の解決に大きな援助を与え、より多くの人々により多くの恩恵がもたらされるようになることでしょう。
私たちが施すものには二重の目的があります。基本的にはその中身は霊的であるということです。それが最も大切だからです。人生において各自の霊に関わることが他の全てのものに優先します。霊こそが永遠の実在だからです。ですが一方、地上の物的生活において生じることが霊性に深刻な影響を及ぼすこともあります。
それゆえ私たちの努力は、地上的環境を改善し改革し修正し、ありとあらゆる不公平を是正し、不公正を取り除き、病気を駆逐し、害悪を及ぼす汚点を払拭することにも向けなくてはならないのです。
私ども霊界の者は地上の落伍者、備えなき者、未熟者が次から次へと送り込まれて来るのをいつまでも許しておくわけにはいかないのです。魂の準備は本来そちらですべきものであり、こちらではないのです。地上は霊が修行のために送り込まれるところです。
霊界の生活への適応性を身につけないまま霊界入りする者が多すぎます。こちらへ来てからでは教育がしにくくなります。地上の方がやり易いのです。
そういう次第ですから、霊的に、精神的に、あるいは物質的に人間の運命の改善という重大な仕事に身を捧げるわれわれは意志を強く持ち、努力は決して無駄に終わらないことを確信いたしましょう。
古い秩序が崩れ、新しい秩序が取って代りつつあります。遠い過去の時代に灯された思想が今や大きな炎となって燃えさかっております。それは決して消されることはありません」
これまでもシルバーバーチはたびたびメンバーに向かって、混乱の世界から新しい世界が生まれつつあることを述べて来た。悲劇の数々も新しい知識の時代、霊的知識の時代の〝産みの痛み〟であると述べている。そして最近の交霊会でも次のように述べている。
「夜明けの光が見えつつあります。あなた方が物的状況から予想するよりはるかに急速な足取りで近づきつつあります。今まさに地上世界は運命の岐路に立っております。私が心を込め最大級の確信をもって申し上げたいことは、その新しい世界はすでに根付いているということです。
これからの問題ではなく、すでに誕生しております。産みの痛みとうめきの中から生まれて、すでに地上各地に広がりつつあります。世界中に一様にというわけにはいきません。
それは有り得ないことです。が、確かに根づいております。これから建設に取りかからねばならないとか、創造していかねばならないとかの問題ではありません。
すでに新しい世界となっております。無秩序、暗黒、混乱がいかに支配しても、あるいは真面目な学徒による思想上の対立がいかに喧(かまびす)しくても、あるいは圧力と権力と豪華さを振りかざして既得権を死守せんとしても、すでに大勢は決しております。新しい世界は始まっているのです」
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