Sunday, December 31, 2023

シアトルの冬 魂の進化  終わることのない巡礼の旅

Growth of the Soul. Never-ending journey

「生命は一つですが、それにはいくつもの等級があります。人間は物質に勝ります。人間は精神と霊で成り立っており、その精神には精神的生活があり、霊には霊的生活があります。さらにこの物的世界を超越した、超物質界に属するバイブレーションもそなえております」

 「人間はその二種類の世界、すなわち今生活しているこの世と、いずれ赴くことになっている、より大きな世界の、双方のバイブレーションを感知することができます。物質でできた身体と霊でできた身体、そしてその両者を結び付けるコードないしはライフライン 〈補注1〉 があります」


 〈訳者補注1〉
 母体と胎児を結ぶ〝へその緒〟と同じように、霊的な栄養を補給するための紐状のものが存在することは日本でも古来から言われており、〝玉の緒〟〝魂の緒〟と綴られている。

へその緒は一本だけであるが、玉の緒はチャクラと呼ばれる主要な生命中枢にあり、特に頭部とみぞおちあたりのものが重要とされている。霊視すると銀色に光って見えるので、西洋では〝シルバーコード〟と呼ぶことが多い。

℘93
 以上はシルバーバーチの霊言からの引用ですが、霊というものが電磁気エネルギーを通してはたらく知性であること、そしてオーラのバイブレーション (磁場) には情報の記憶と検索の機能が備わっていることに得心がいけば、我々の身体を包み込み扶養してくれている生命力の中身が大よそどんなものかが理解できたことになります。

 結局あなたという人物の性格は、そのオーラが機能している場がどのレベルであるかによって決まるわけです。

そのバイブレーションのレベルは、物的身体の五感を窓口として獲得する情報を糧として、あなたという個的存在の精神の内部で醸し出された思念によって、全てではなくても、大半が決ります。

 これをラジオの周波数に譬えて説明すれば、誰しも経験があるように、ある周波数の放送を聞いている時に別の周波数の放送が入ることがあります。

ラジオの場合は相互の関連がないので〝混信〟となりますが、人間のオーラの場合は五つの磁場の相互作用によって、必要な情報が別の次元から入ってくるのです。ホワイトイーグルはバイタル・ボディを例にあげてこう説明しています。

 「この特殊なオーラは、エセリック・ボディと呼ぶ人もいますが、神経組織と密接につながっていて、神経的な負荷が重なると、時と共に物的身体に‷病気〟という形で現れます。間違った思考、間違った食生活、間違った暮らしが生み出す低俗な精神の害毒がこびりつくからです」
℘94  
 別のところでは違った角度から次のように説明しています───

  「物的身体とぴったり合体するように、〝元素体〟(エレメンタル) とでも呼ぶべき媒体があります〈補注2〉。これは本来は邪悪な性質のものではありません。人間のみならず下等な生命体の進化に不可欠の役目を果たしています。

人間はなぜ〝善〟よりも〝悪〟を志向しやすいのかという疑問を抱くことがありますが、その回答はこの〝欲望の媒体〟と呼んでもよいエレメンタルにあります」

 「人類も進化の過程の中で少しずつ高等な自我(現段階ではごく一部しか顕現していませんが)そのエレメンタルな要素を克服していかねばなりません。しかし現実には人類を地上につなぎ止める一種の接着剤として、人類の進化に貢献しているわけです」

「皆さんもこの身体の誘惑を感じているはずですが、それは決して悪の要素とみなすべきではありません。それがあるからこそ霊的なもの、ないしは神を指向する意識の開発を促すことになるからです。地上に降誕するそもそもの目的はそこにあります」 

 〈訳者補注2〉
 原文では the body elemental で、取りあえず 「元素体」 と訳しておいたが、普通はエセリック・ボディに含まれているものとして。個別に扱われることはない。それで、二重になったものという意味でエセリック・ボディのことを〝ダブル〟the Double と呼ぶのが通例である。「複体」 と訳す人もいる。

 
 当然この磁場はマイナスの性格の方が強いので、精神的には低級なバイブレーションに傾きやすく、霊視能力者の目には黒ずんだ赤色にみえます。これは現段階の人類の残っている肉体的欲求や性欲等、下等動物のレベルの波動によるものです。

これから降誕ないし再生してくる後輩にそのチャンスを提供するためには不可欠のもので、決して邪悪な性質のものではありませんが、誕生してきた者はこの地上での生活でそれを適度に発散しながら克服していかねばなりません。

 我々は例外なく自由意思が許されています。ですから、この問題に限って言えば、エレメンタルな磁場が精神の磁場を支配するに任せるか、それともその逆になるように心掛けるかは我々自身の自由意思の選択の問題です。

霊的進化の道は精神のバイブレーションを高めることに掛かっています。逆に言えば、エレメンタルなバイブレーションの進入をどこまで抑えるかです。
℘96
 このようにホワイトイーグルのいうバイタルとエレメンタルが胎児期のオーラを構成しており、ライフライン(玉の緒)を通して、光子の制御機能によって脳にシグナルを伝達します。シグナルを受けた脳はその部位の特性を補完するために、次のような働きをすることが、スチュアート・サザランドの研究で分かっております───

 「基本的な反射作用を受け持ち、爬虫類の脳に類似している後脳(小脳と延髄)はオーラのバイタルの部位と繋がっており、視床下部は下等哺乳動物と同じく性衝動と感情をコントロールしていて、エレメンタルと同じである」と。

 ホワイトイーグルは続いてアストラル・ボディ(幽体)をこう説明する。

「アストラル・ボディは一般の霊視能力者が見てアレコレと診断しているもので、これにも幾つかの色彩があります。エレメンタルの色彩が強いとその色彩もキメが粗くなり、美しいという印象よりは粗野な感じがします」

 「宿っている魂が霊的生命の実在と地上降誕の目的を認識している場合は、オーラの輝きは細やかになり、色彩も一段と美しくなります。ごく普通の人間のオーラは輝きのないもの、陰気なもの、ぼんやりとして鮮明さに欠けるものから、美しくて見事な卵形をしたもの、くっきりとして調和のとれた色彩のものまで、いろいろとあります」

 ホワイトイーグルはこのアストラルの磁場の機能については、具体的なことをほとんど述べていません。そこで私はS・マルドゥーン女史の〝幽体離脱現象〟〈補注2〉 を紹介して、理解に供したいと想います。


 〈訳者補注2〉
 自分の幽体を意識的に体外に出して、それに宿って客観的な観察をする現象を 「幽体離脱現象」 または 「対外遊離現象」 と呼ぶ。実際には人間の全てが睡眠中に体外に出ているのであるが、普通の人間は脳を経ないものは意識できないので、その間のことは朝目覚めた時に記憶が無い。

それを意識を失うことなく思い出させるのが霊能者で、その第一人者がマルドゥーン女史である。ここで引用されているのは心霊研究のH・キャリントンとの共著 The Projection of Astral Body からの一部である。


 マルドゥーン女史はここではシルバーコードのはたらきに集中して観察しています。

「コードはその時どきで集中している網状組織が異なる。観察に都合が良いのは延髄である。自律神経だけで動いている肉体の呼吸機能をつかさどる機関を直接コントロールしているからである。そのコードの組織は、私に見える限りでは、幽体そのものと同じ成分で出来ている」

 「合体している位置から少し動いてズレが出来ると、コードの直径が (古い) 一ドル銀貨ほどであることが分る。それが最大であるが、それを包んでいるオーラの直径は、見た目には六インチほどあるように思える。白っぽいグレーに輝いていて、伸びるとクモの糸を一本に束ねたようにも見える」

 「合体している時と活動している時とでコードはいつも二重の働きをしている。少なくとも見た目にはそう見える。すなわち、一つは規則正しい脈拍。もう一つは心臓の拡張と収縮。

心臓の鼓動の一つひとつが幽体に響き、一つひとつの脈拍がコードで伝わり、一つひとつの幽体の鼓動が肉体の心臓に響く。この三者が同時に起きている」

 「幽体の頭部に触っても心臓の動悸は感じ取ることはできないが、肉体の動悸が自分の手で感じ取ることができるように、幽体の手でコードに触って感じ取ることはできる」

 「幽体の呼吸の一つひとつがコードに響き、同じ呼吸がトランス状態の肉体に連動する。意識を失わずに体外へ遊離した時は、肉体に宿っている時と同じように呼吸を自在に止めることができる。止めると同時に、先ほど述べた拡張と収縮も止まる。が、呼吸が止まっている間も、規則い正しい脈拍は続いている」

 「幽体で深呼吸すると肉体も深呼吸する。短いと肉体の深呼吸も短く、息せき切った呼吸をすると肉体も息せき切った呼吸になる、といった調子である」

 「以上が幽体の〝生命配線〟の目的、つまり〝生命の呼吸〟を肉体に送り届けることである。本当の〝あなた〟は幽体に宿る存在であり、呼吸している生命は宇宙エネルギーなのである」

 こうした観察をしている本人 (マルドゥーン女史) は意識を失わず幽体に宿っており、その間、肉体の機能はすべて維持されています。これで、「本当のあなたは幽体に宿る存在」 であり、肉体は幽体からの入力によって機能していることがお分かりいただけるでしょう。そしてさらに、ホワイトイーグルの次の言葉に得心がいくことでしょう。

 「あなた方は地上生活中に自分のオーラを築いているのです、さまざまな欲望の充足を通して幽体を養い、幽体を通して霊体と本体を養っているのです。本体も地上生活における行為とその反作用、心に抱く思念と願望によって構築されていくのです」

 物的環境における五感の作用の影響によって霊的に向上すると、思考のレベルも向上します。

かくして 「類は類をもって集まる」 ように、意識が高まるにつれて本体の磁場の波動に触れるようになります。霊能者の背後霊団に〝入れ替え〟があるということが言われていますが、それは多分このことでしょう。

 それをシルバーバーチは別の角度から次のように述べています。

 「あなた方が生き、動き、呼吸し、考え、反省し、決断し、判断し、思いを巡らし熟慮するのも、霊の力のお蔭です。見聞きし、動き、歩き、思考し、おしゃべりするのも霊力のお陰です。

あなたの為すことの全て、あなたの存在を形成するものすべてが霊力のお蔭なのです。なぜなら、物質界の全て、あなたの物的身体も、存在と目的と方向性と生命を付与する霊的エネルギーの流入があるからこそなのです」

 「皆さんには肉体の鋳型としてのエーテル質の身体 (ダブル) があります。が、これには筋肉とか胃液とか聴覚とかはそなわっておりません。これは霊が肉体として顕現し、有効に機能するための中継的存在であり、死とともに霊が次の階層の生活にそなえるための基本的な役目を終えます」

 「それは程なくして脱け殻のように剥がれ落ち、変わって別の身体が用意されます。霊的純化の過程を重ねるためには幾つもの身体が必要なのです。皆さんにはそのための身体が幾種類もそなわっています」

 「人生の目的は進化であり、成長であり、成就です。進化するにつれて自動的に古い身体を捨てて、次の段階に必要な新しい身体をまといます」

 「現段階においても、皆さんには幾つのも身体がそなわっていて、それぞれの次元で顕現しているのです。肉体を捨てると今度は幽体をまといますが、それは地上生活中もずっとそなわっていて、その次元のバイブレーションで機能していたのです。

肉体が今のあなた方には実感があるように、その次元においては幽体に実感があるのです」

 「あなた方には複数の身体がそなわっています。それを幽体とか霊体とか本体とか呼んでいます。到達した次元にふさわしい身体で自我を表現します。

次の次元の階層へ行けばそれまでの身体は毛虫が脱皮するように脱ぎ捨てます。到達して発段階にふさわしい形態で自我を表現するわけです。そうした形での発展が無限に続くのです」

 「見方によっては、地上界も幽界の一部であると言えないこともありません。全ての階層が、個別に仕切られているのではなく、互いに浸透し合っているからです。全宇宙の生命の全階層が互いに混じり合い浸透し合っており、それに霊的側面、幽的側面、物的側面があるということです。

今こうして地上で生活している皆さんも、同時に霊的世界ともつながっていることになります」
℘102
 「全生命は一つで、それに無限の進化の段階があるということです。あなたはいずれ霊界の住民となりますが、今この時点でも立派に霊界の住民なのです。要はバイブレーションの問題です。

あなたはいずれ霊的存在となりますが、今この時点でも立派に霊的存在なのです。死んでから霊的存在となるのではありません。死はあなたの霊格を一ミリたりとも伸ばしてくれません」

 「あなたは霊なのです。これまでもずっと霊でしたし、これからも霊であり続けます。今の自我意識は物的身体を通して顕現した部分だけの意識です。あなた方のおっしゃる〝死〟のあとにさらに進化していくにつれて、それまで未開発の部分が顕現されていきます。

しかし、霊そのものはどこかへ行ってしまうわけではありません。どこかからやってきたわけでもありません。ずっと存在していましたし、今も存在していますし、これからもずっと存在し続けます」

 「もし皆さんが、自分が肉体を携えた霊的存在であること、地上界が全てではないこと、物的なものは束の間の存在であることを自覚してくだされば。もしも皆さんが、本当の自分、不滅の自分、神性を帯びた自分が死後も生き延びて無限の進化を続けることを自覚してくだされば」
℘103 
 「そうすれば、賢明なるあなたは自然の成り行きで、本来の生活の場である死後の世界にそなえた生活を送ることになることでしょう。あなたのなさる行為のすべてが、到達した霊的覚醒のレベルに似合ったものとなることでしょう」

 ダブルも含めた幽体についての以上の説明をまとめると、我々人間は肉体と一体となってはたらく目に見えない身体を通して、物質界の波動の中での行為とその反動によって築かれる意識レベルで、自我を表現していることになります。

 その幽体の磁場を支配しているオーラは、他の幾つかの磁場から出るオーラと渾然一体となっていて、五感を通して吸収した知識のすべてが蓄積され、必要に応じて検索することが可能であるといいます。「したがって・・・・・」 と、シルバーバーチは続けてこう語っています───

 「オーラを霊視しその意味を解釈できる人には、その人物の秘密のすべてが丸見えということになります。魂が今どの程度の段階にあるか、精神がどの程度まで発達しているかが分ります。要するに霊性進化の程度をオーラが物語っているのです。言わば、書物を読むようなものです」

 「あなたが口にしたこと、あなたが心に抱いたこと、あなたが行ったことのすべてがオーラに刻まれています。外面をいくら繕っても、あなたの内部の本性をそのまま表しておりますから、オーラはいわば永遠の鑑定書のようなものです」

となると当然キリスト教で言う 「白い立派な椅子に腰かけた人」 がいて審判を下す、というようなことはないことになります。

この地上生活中に、我々各自のオーラに刻まれた人生体験を通じて、自分が自分の審判者ともなり陪審員ともなるのです。霊的進化の次の階梯がどのようなものになるかは、そのオーラのバイブレーションによって決まることになります。

 例えば、どす黒いオーラを持った人、汚れた赤色のオーラをした人、グレーないしは茶色のオーラをした人は、死後、それぞれが暗示するレベルの階層、暗くて陰気な世界へ赴くことになります。ブルーやパープル (深紅色) をした人は我欲を滅却した、霊性の高い魂が集まる階層へ赴きます。類は類を持って集まるわけです。

 ホワイトイーグルはこの幽体の他にさらに霊体と本体の存在を指摘して、次のように述べています───

 「この幽体の向こうに、もう一つ、同じような卵形をしていながら、さらに霊妙な成分で構成されたオーラが見えます。これが霊体のオーラです。これも思念の変化に応じて次々と色彩を変化させています。

そして、この霊体のさらに向こうに、それと浸透し合うように、さらに一段と霊妙なバイブレーションをした神体ないし本体のオーラが見えます。形体も美しく、殆ど形容できないほど神々しい色彩をしています。譬えるものが地上に見当たらないからです」

 ホワイトイーグルが言っていますーー

 「人間の自我がこの本体に宿るのは、肉体が地上生活を終え、幽体による幽界生活───サマーランド 〈補注3〉 も含む───を終え、さらに霊体による霊界生活を終えてからです。それぞれの階層はそれぞれのオーラに宿って初めて体験できるのです」


 〈訳者補注3〉
 Summerland は幽界の一部で、何もかも叶えられる、いわゆる 「極楽」 に相当。実際は地上時代の辛い体験のトラウマを癒すことを主な目的とした、一時休憩所のような境涯。 「常夏の国」 と訳されることが多いが、ひとくちに「夏」 といっても国によってさまざまなので、言語読みの方がよいであろう。


 精神がいちばん反映する霊体のオーラは、宿っている霊的自我の霊格をもっと正確に物語っているとみてよいでしょう。というのは、その自我のバイブレーションを高めるのも下げるのも、他のオーラとの相互作用の結果として精神の中で構成される思念や意思だからです。

 霊体およびエレメンタル (ダブル) の磁場ではたらく生命エネルギーはその磁場だけに限られていますが、精神には自由意思がそなわっているために、神体のレベルのバイブレーションからエレメンタルのバイブレーションまで、そのはたらきが広範囲にわたっているからです。

 これでお分かりになるように、精神が冷静さと自信を持つようになるまでは、幽体とエレメンタルの磁場はちょっとした出来心にも動揺をきたすことになります。これは実は地上界の我々人間に限られたことではないようです。

 私はいわゆる霊媒現象、つまり霊的能力を持つ人間の手 (自動書記) や口 (霊言) を使って先輩のスピリットが伝えてくれるところを分析してみると、死後の世界も地上世界と少しも変わりはなく、身体が肉体から幽体や霊体に変わるだけで、精神的生活は全く同じであることが分ってきました。

シルバーバーチの言う 「ボディ (身体)・マインド (精神)・スピリット(霊)の、三位一体の存在」 であることに変わりないということです。
℘107
 ということは、死んでも人間的個性は少しも変わることはなく、勉強と修養と努力、そして試行錯誤の繰り返しの中で、大宇宙の創造者、シルバーバーチのいう 「大霊」 Great Spirit に少しずつ近づいていくということの連続のようです。

地上の人間の 「脳」 は精神の指揮・命令を受けたり出したりする、いわばロボットの伝達中枢機関にすぎないのです。

 具体的に言うと、五感の反応が脳を通して光子(フォトン)の性質をした信号が伝達され、それを受けた精神の反応が脳を通して五感に伝達され、それが行為となって実行に移されるという具合に、精神はオペレーターの役をしているわけです。

その情報の連絡手段として使用されるのがシルバーコードで、その情報が脳に伝達されて、それが全身の機能に自動的に反応するのです。

「いったんシルバーコードが切断され、肉体と霊(自我)との連絡が途絶えると、それきり肉体の活動はなくなります」 と言うシルバーバーチの言葉に納得がいきます。

 旧約聖書の 『伝道の書』 の第十二章に次のような一節があります───
 《その後、銀の紐 (シルバーコード) は切れ、金の皿は砕け、水がめは泉のかたわらで破れ、車は井戸のかたわらで砕ける。チリはもとのように土に帰り、霊はこれを授けた神に帰る。伝道者は言う、 「空は空、一切は空である」 と 》 (日本聖書協会一九五五年改訳版)
℘108  
 これは一例に過ぎませんが、昔の思想家は今日の思想家よりもはるかに奥深いことに通じていたようです。第二章の最後で紹介した H・S、バー教授は〝生命の磁場〟の研究の中で精神の問題に言及して、こう述べています───

 「ところで我々は、チャールズ・シェリントン卿が数十年前に指摘した事実、つまり人間の精神は時間の中にも存在しないし、空間の中にも存在しないし、知られている限りいかなるエネルギーの転換もない、ということを思い出すべきである。

ところが精神組織は間違いなく時間の中に存在するし、空間を占めているし、エネルギーの転換が必要である」

「確かにこれは謎めいている、人間の精神という非物質的なものが有機的な神経組織を支配しているというのはいったいどういうことか? 道徳上の規範もこれに類する問題である」

 「道徳律も精神的規律も時間の中に存在していないし、空間を占めていないし、知られている限りではエネルギーの転換もない。にもかかわらず、いわゆる精神世界の方が人間の行動を支配していることを示す証拠は、大ざっぱではあるが、我々はすでに手にしている。精神と肉体という全く異質のものが一体どうしてつながるのか、誰にも分らない」

 バー教授は精神の本質については理解していましたが、彼は〝生命の磁場〟をあくまで単数(一つ) として考察し、複数(いくつも)存在することを知らなかったために、そこから先の理解がいかなかったわけです。

 その複数の磁場の全てがオーラの中に存在することを、ハーバード・L・カーニング教授とW・クロイ博士が学問的に確認してくれたおかげで、我々はホワイトイーグルの霊言を信じて、そうした磁場の働きが明快に理解できる訳です。

 ホワイトイーグルは、自分の霊的進化の責任は自分で負う事を強調して、次のように述べています───

 「地上生活中のあなた方は、心に抱く願望によって、幽体と霊体と本体の発達を促しているのです。最高の波動をもつ本体も、今の地上生活における行為とその反動 (善悪両面の報い)、 思念と願望によって形づくられているのです」

 オーラの波動によって最高の磁場である本体までもが直接的に影響を受けていると同時に、日常生活の中で獲得した知識を活用し、理知的判断によって低級な波動をもつダブルや幽体の内部でのバイブレーションを上げることも可能となります。

それは、逆に言えば、精神に抱く思念が低俗になればバイブレーションが低くなり、それがあなたの生活を支配することになるわけです。

 そうした意識レベルはすぐに幽体に反映し、‷類は類を呼ぶ〟の法則にしたがってそれが増幅され、霊体、本体へと影響が及びます。そうした自然法則の働きで霊格が定まり、そのレベルで死後の生活が始まるわけです。

 霊的磁場でも最高のバイブレーションをしている本体は積極的な思念の源で、個人だけでなく人類全体の幸せを思います。日ごろの生活の中での心の持ちように常に注意を払うことは、本体の磁場のレベルへ近づこうとしていることになります。

 この本体のはたらきは、普通は〝良心〟として意識されています。が、生まれ落ちた民族の伝統的な信仰に影響されて、それが〝ゴット〟〝アラー〟〝父〟〝主イエス〟〝守護天使〟〝指導霊〟などと結び付いていきます。

もしもそれを〝宇宙の大霊〟であると信じているとすれば、それが霊媒という一個の人間を通じて語りかけてきたと思い込むのは、あまりに尊大な考えであるということになります。

 これをシルバーバーチ流に解説すれば、霊的に進化するにつれてオーラの磁場の身体が一つひとつ振り落とされていきますが、いちばん中心部にある叡知の磁場である本体とのつながりだけは途切れることはありません。

言い換えれば、今どの次元の階層にいても、精神の意識レベルを下げることによって、永遠の魂の旅路において必要な叡智と知識を授かることができるということです。
℘111
 ではどうやって授かるのか? それをシルバーバーチは次のように説きます───

 「それはインスピレーションによって授けられるのですが、意識的にしろ無意識的にせよ、私たちの世界 (霊界) の誰かとの繋がりができて、その間だけその霊からパワーやインスピレーションやメッセージを授かるのです。意識的なこともあれば無意識的なこともあります。それはその時の環境条件によります」

 「が、皆さんと私たちの間では常に何らかの思念を授かったり授けたりしています。私たちと同じ波長の次元にいる人間、つまり霊性が似通っている人間は、私たちが送る思念を受け取りますし、彼らもまた私たちに通じる意念を送ってきます。その波長は霊性の進化の程度によって決ります」

 「結局皆さんは受信局であると同時に送信局でもあるわけです。思想や概念を自分一人でこしらえることは滅多にありません。ラジオにもテレビにもチャンネルないしバイブレーション───周波数というのが適当でしょう───というのがあり、それに合わせると聞こえたり見えたりするのと同じです」

 「皆さんにも皆さん独自の波長があり、それと同じ波長をした霊たちからの思想や概念、提案、インスピレーション、指導、その他もろもろのアイディアを受けています。それが皆さんの個性によって色付けされて放出され、また誰か別な人が受け止めたりしています」

 サイコメトリ、ダウジング、テレキネスシ 〈補注4〉 といった物理的な心霊現象でもやはり霊能者の精神の磁場と物体の磁場の波長が一致しているからこそ発生するのです。

物体にも磁場が存在するのは、シルバーバーチが言うように 「物資は霊の働きかけがあって初めて存在を得ている」 からです。

 かくして、存在するものすべてが振動し、放射し、活動しています。その磁場のバイブレーションは動物界、植物界、鉱物界それぞれの振動をしており、人間のオーラと同じように情報を記憶し伝達できるのです。シルバーバーチは言っています───

 「それぞれのバイブレーションに合わせる能力はその霊能者の霊的感性の問題です。あなた方は今、物質のバイブレーションに制約されています。物質しか反応できないのです。

霊視能力を持った人は物的な光線を超越したバイブレーションに感応できる人です。霊聴能力を持った人は物的な音域を超えた霊妙なバイブレーションを聞くことができる人です。要はその霊能者という道具の感度の問題です」

 人間はオーラの磁場を通して固有の性格を発達させると同時に、死後も続く永遠の魂の旅にそなえているのです。それが天国となるか、それとも地獄となるか、その選択は各自の自由意思にゆだねられています。刻一時が選択の時なのです。


 〈訳者補注4〉
 Psychometry. Dowsing. Telekinesis サイコメトリは物体のオーラに刻まれている、その物体にまつわる事情を読み取る能力。ダウジングは地中や海中の水脈や鉱物など、もろもろの潜在物を探り出す能力。テレキシスは念力で物体を動かす能力。能力そのものは精神的なものであるが、働きかける対象が物的なもので、物理現象の中に入れられている。
           

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