Thursday, September 29, 2022

シアトルの秋 シルバーバーチのアイデンティ       silver birch identity



 シルバーバーチとはいったい誰なのか。なぜ地上時代の本名を明かさないのか。アメリカ・インディアンの幽体を使用しているのはなぜなのか。こうした質問はこれまで何度となく繰り返されているが、二人の米国人が招待された時もそれが話題となった。そしてシルバーバーチは改めてこう答えた。

 「私は実はインディアンではありません。あるインディアンの幽体を使用しているだけです。それは、そのインディアンが地上時代に多彩な心霊能力をもっていたからで、私がこのたびの使命にたずさわるように要請された際に、その道具として参加してもらったわけです。私自身の地上生活はこのインディアンよりはるかに古い時代にさかのぼります。

このインディアンも、バーバネルが私の霊媒であるのとまったく同じ意味において私の霊媒なのです。私のように何千年も前に地上を去り、ある一定の霊格を具えるに至った者は、波長のまったく異なる地上圏へ下りてそのレベルで交信することは不可能となります。

そのため私は地上において変圧器のような役をしてくれる者、つまりその人を通して波長を上げたり下げたりして交信を可能にしてくれる人を必要としたのです。

同時に私は、この私を背後から鼓舞し、伝えるべき知識がうまく伝えられるように配慮してくれている上層界の霊団との連絡を維持しなくてはなりません。ですから、私が民族の名、地名、あるいは時代のことをよく知っているからといって、それは何ら私のアイデンティティを確立することにはなりません。それくらいの情報はごく簡単に入手できるのです」


 では一体地上でいかなる人物だったのか、またそれはいつの時代だったのか、という質問が相次いで出されたが、シルバーバーチはその誘いに乗らずにこう答えた。

「私は人物には関心がないのです。私がこの霊媒とは別個の存在であることだけ分かっていただければよいのでして、その証拠ならすでに一度ならず確定的なものをお届けしております。

(訳者注───たとえばある日の交霊会でバーバネルの奥さんのシルビアにエステル・ロバーツ女史の交霊会でかくかくしかじかのことを申し上げますと予告しておいて、その通りのことを述べたことがある。

ロバーツ女史はまったく知らないことなので、バーバネルを通じてしゃべったのと同じ霊がロバーツ女史を通じてしゃべったことになる。つまりシルバーバーチはバーバネルの潜在意識ではない───二重人格の一つではないことの証拠となる)

 それさえ分かっていただければ、私が地上で誰であったかはもはや申し上げる必要はないと思います。たとえ有名だった人物の名前を述べたところで、それを証明する手段は何一つ無いのですから、何の役にも立ちません。

私はただひとえに私の申し上げることによって判断していただきたいと望み、理性と知性と常識に訴えようと努力しております。 もしもこうした方法で地上の方々の信頼を勝ち取ることができないとしたら、私の出る幕でなくなったということです。

 かりに私が地上でファラオ(古代エジプトの王)だったと申し上げたところで、何にもならないでしょう。それは地上だけに通用して、霊の世界には通用しない地上的栄光を頂戴することにしかなりません。私たちの世界では地上でどんな肩書き、どんな財産をもっていたかは問題にされません。要はその人生で何を為したかです。

私たちは魂そのものを裁くのです。財産や地位ではありません。魂こそ大切なのです。地上では間違ったことが優先されております。あなた方のお国(アメリカ)では黄金の仔牛(旧約聖書に出てくる黄金の偶像で富の象徴)の崇拝の方が神への信仰心をしのいでおります。

圧倒的多数の人間が神よりもマモン(富の神)を崇めております。それが今日のアメリカの数々の問題、困難、争いごとの原因となっております。

 私がもしアリマタヤのヨセフ (※) だったとかバプテスマのヨハネ (※※)だっとか申し上げたら、私の威信が少しでも増すのでしょうか。それともイロコワ族(※※※)の酋長だったとでも申し上げればご満足いただけるのでしょうか」

(※ イエスの弟子。 ※※イエスに洗礼を施した人物。 ※※※北米インディアンの五つの部族で結成した政治同盟。イロコイ、イロカイオイとも───訳者)

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