Saturday, November 19, 2022
シアトルの晩秋 シルバーバーチの使命 Mission of Silver Birch
〔高級霊団から使命を仰せつかったシルバーバーチが地上圏での活動の準備と開始に至るまでの経緯について語る〕
ずいぶん前の話になりますが、他の多くの指導霊と同じように私も、地上圏に降りて協力者の一団を集め、霊的メッセージを地上界へ届ける仕事を引き受けてくれないかとの懇請を受けた時、私はそれを使命としてお引き受けしました。
そのためにはメッセージを受け取ってくれる霊媒を探し出す必要があることも知らされました。そこで私は霊界の記録簿を調べ、この霊媒に白羽の矢を立てました。
それはこの霊媒がまだ母胎に宿る前の話です。私はその母胎に宿る一瞬を注意深く待ち、いよいよ宿って自我を発現し始めた瞬間――と言っても、まだほのかな明り程度のものに過ぎませんでしたが――から私なりの影響力を行使し、今日まで続いている一体関係がその時から始まったのです。
私はこの人間の霊とその小さな精神の形成に関与しました。誕生後も日常生活のあらゆる側面を細かく観察し、互いの一体関係を促進し、物の考え方や身体上の癖を呑み込むように努めました。つまり私はこの霊媒を霊と精神と肉体の三面から徹底的に研究したわけです。
次に私がしなければならなかったことは、この霊媒を霊的真理の理解へ向けて指導することでした。まず地上の宗教を数多く勉強させました。そして最終的には彼はそのいずれにも反発を覚えて、いわゆる無神論者になってしまいました。が、それはそれなりに当人の精神的開発にとって意味があったのです。これで霊言霊媒となるべき一通りの準備が整いました。
ある日私は、周到な準備のもとに初めて彼を交霊会へ出席させ、彼の口を使って私の意思を発言してみました。いかにもぎこちなく、内容もつまらないものでしたが、私にとっては実に意義深い体験だったのです。
その後は回を追うごとにコントロールがうまくなり、今ご覧の通りにまでなりました。今ではこの霊媒の潜在意識に邪魔されることなく、私の考えを百パーセント伝えることが出来ます。
さて、先ほど申した通り私はさる筋から使命を仰せつかったのですが、その時こう言われたのです。
「そのためには、あなたは物質界まで波動を下げなければならないし、また、適当な道具を見出してから、その霊媒と霊的に親近性のある人間を数名見出して、その霊媒を通してあなたがメッセージを語る場を用意しなくてはなりません」と。それがあなた方です。私がここへ陰からお誘いしたのです。
しかし、私が遭遇した困難の中で最大のものは、人間を納得させるような証拠――もちろん物的証拠であって霊的な証明ではありません。地上の人間はまだ霊的な証明ができる段階に達しておりません――を提供するか、それともその霊的証明を理解させるための教えを説く、つまり霊的真理を説くか、この二つのどちらにするかということでしたが、私はあえて困難な方の後者を選びました。
私はその使命をお引き受けした時にこう言いました――これまでの長い霊界生活における多種多様な体験を携えて地上圏へ戻り、慈しみの心で人間に接してみます。まず何よりも理性に訴えたい。言うなれば大人の魂、つまり高い霊性と教養を身につけた人物に訴えてみたい。霊界からのメッセージをできるだけ単純明快な形で説き明かすべく努力します、と。
またこうも述べました――人間の理性が反発を覚えるようなことは絶対に述べないことにしたい。慈しみの心で接し、怒りをもって諌めることだけは絶対にすまい。自ら公言している通り自分が確かに大霊の使者であることを、教訓と模範を垂れることによって証明したい、と。
さらに私は、地上時代の姓名を絶対に明かさないという重荷を自ら背負いました。仰々しい名前や称号や地位、名声は持ち出すまい。私が述べることと態度で私という存在を判断してもらいたいと思ったのです。
実は前回の会合でその先輩の霊たちとお会いしたのですが、その席上で私はお褒めの言葉をいただき、使命が順調に進捗していることを聞かされました。その言葉に私は思わず感激の涙を流しました。しかし、使命が終わったわけではありません。まだまだ為さねばならないことがあります。
他の霊団――私の霊団と同じ仕事に携わっているのですが――による尽力もあって、あなた方の物質界にはかつてよりもより多くの光明が射し、より多くの幸せが生まれ、悲しみが減り、涙が流されることが少なくなりました。死についての無知がわずかながら克服されたことを意味します。
また、多くの魂を鼓舞して、日常生活で高度な自我を自覚させました。正義と真理についての目を曇らせてきた過去の多くの誤った概念を駆逐しました。長年にわたって地上界を毒し続け、愚行によって理性を辱(はずかし)めてきた教義と独断の牢獄から多くの人々を解き放してあげました。
私たちは、特定の者のみを可愛がり、憤怒に燃えて報復したり、疫病をまき散らしたりする神に代わって、慈しみと叡智の始源としての大霊の概念を説くことに努め、そしてそれはある程度まで成功しました。またナザレのイエスを(唯一の神の子としてではなく)偉大なる人間の模範として崇めるべきであると説いてきました。そうした私たちの教えの基本となっている根拠を理解してくださる人も多くなりました。
確かに大きな成果を上げることが出来ましたが、これから為さねばならない、もっと大切な仕事があります。人間は今もって、やらなくてもよい戦をやりたがります。私たちが説く真理を理解し実生活に生かせば、殺し合うなどということは、いの一番に止めるはずです。
飢餓もあります。大霊は十分な恵みを与えてくださっています。なのに、新鮮な空気も太陽の光も入らない粗末なあばら家で生きるか死ぬかの生活を余儀なくされている人がいます。不足と悲嘆と苦痛が多すぎます。
廃絶すべき迷信がまだまだ数多く存在します。心を痛めている人が多すぎます。根絶すべき病気があります。私たちの仕事はまだまだ終わっていません。
私たちはこれまでの成果を喜ぶと同時に、あなた方サークルの協力を得て、さらに多くのサービスが成し遂げられるための力を授かりたいと祈っております。
私はこの地上へ私を派遣した霊団の代弁者(マウスピース)に過ぎず、私という一個の存在としての栄誉とか報賞を求める気持はみじんもありません。誇大に宣伝したり地上時代の偉そうな人物名を名乗ったりする趣味も持ち合わせません。私はただこれまで申し上げたような霊的真理、長い間忘れ去られていた真理に改めて“神の真理”のシールを張って、こうして地上界へお届けするための道具であることに喜びを感じているのです。
私の役目は、私が所属する霊団からのメッセージをお届けすることです。手塩にかけて養成したこの霊媒と私自身の霊力の力量の範囲で受け取ったものを忠実に伝達する努力を続けてまいりました。私はただお役に立てばそれでよいのです。もしも私がお伝えするささやかな教えが、人生の嵐の中にあるたった一個の魂の一服の憩いとなり、疑念の嵐をくぐり抜けてきたあとの確信の港となれば、あるいは又、こうした一見なんでもなさそうな素朴な霊的真理の聖域の中に幸せを見出し、生き甲斐を覚えさせてあげることになれば、父なる大霊から仰せつかった使命のいくばくかを成就したことになりましょう。
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2章 交霊会の目的
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