”リケジョ” とか、これほど世間を騒がせている事件の本人が ”単純なミスと 悪げが無かった” と言うのですか。
人間社会の人間模様ですね。
世の中に詐欺師と呼ばれる迷惑な人がその昔から徘徊して絶えることが無いけれど、この詐欺師と肩書きをつけられた人の中には、自覚的に人を騙そうと企む詐欺師と、自己の信ずるアイディアに見果てぬ夢に、回り近所を巻き込んで、うまくいかなければ詐欺師と言われる人になる。と昔出会った或る人を思い出しました。
私がニューヨークにやってきたその昔、”何とかルミ” さんという日本女性の画家と知り合いになりました。この人は、パーク アヴェニュー38丁目当たりの洒落たビルの中に日本美術館を持っていました。
ホーミーな小さな美術館で、日本各地の凧を展示していました。
このルミさんはとてもフレンドリーな良い人でした。彼女が一人でこの美術館を取引っているようなので、私はボランティアで雑用を手伝ったりして仲良くしていました。
或るときルミさんはボードミーティングを開くのだと言い出し、その目的は何か有名な美術品を日本から持ってきて展示会をするということで、その打ち合わせだと言いました。
そのときのボードミーティングの4,5、人の面々は、アメリカでも名の知れた大会社の社長たちでした。
そのミーティングの昼食の為にルミさんが一人で、幕の内弁当を作ると言うので、私ともう一人のやはりボランティアをしている日本婦人と手伝うことにしました。
そのミーティングの世話を私たちがしていたので、その会議の内容は秘密でもなかったし私たちも聞いていたのですけれど、ルミさんはその展示会に ”何とかの宮様を招待する” と言っていました。
ミーティングの面々はすっかり満足して、「ルミ本当に宮様は来るのだな」と念を押していました。
私ともう一人の日本夫人はうなずき会って、「やはりルミさんは尋常でない」事を確かめあいました。
私たちは彼女としばらく付き合っているうちに、彼女が自らの果てしない夢を現実に起きるものと信じて言動し、必ずそのようになると人を熱心に説得してお金を借りては自分のアイディアに投入し、自分は食うや食わずでいるらしい様子を気の毒に思うようになってきていました。
彼女のアパートに間借りしている男の子も、「彼女って! 自分のアイディアに絶対的自信を持って、大会社の社長に電話しまくり、これだけのメンバーを集めた。すごい力を持っているのですよー。中小企業の親父ではない、大会社の社長たちですよー」 と感嘆していました。
彼女は決して男性を魅了させる類の人ではないので、その事ゆえに社長たちが協力しようとしている訳ではないのです。
その後私も忙しくなり、彼女とは疎遠になってしまいましたけれど、彼女のアイディアが実現したようでもありませんでした。
なるほど詐欺師と言われる人の中には、こうした人もいるのだな、と彼女に接して認識したものでした。自分のアイディアに心酔して事を起こしたのですから、彼女の側には正に ”悪げ” はないのです。私は何も悪いことをしているわけではないのに、としか本人は思わないことでしょう。こうした個性とは、平行線をひたすら辿るのみと思います。
そういえば、うちの親父もその気があるようですよ。
Saturday, April 12, 2014
シアトルの春 単純なミスと悪げの無い話
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
No comments:
Post a Comment