Friday, June 14, 2013

シアトルの初夏 見栄えの良い狸君



「来てごらん。猫2の餌を狸が来て食べている」

夜更け、娘がひそひそ声で知らせに来ました。

「何で狸と分かったの?」

「ガリガリと、大きな音立てて食べるのは猫ではない。」

私たちは外に住む猫2、すなわち野良猫 "オーちゃん" のために食事を外に用意してあるのです。

「シーッ」 我々は抜き足、差し足で娘の部屋のガラス戸をソーッと開けてみると、なるほど猫ではなさそうな動物がガリガリと大きな音を立てて、猫の餌を夢中で食べています。

「暗くて誰だかわからないじゃないの」

懐中電灯で照らしてみると、果たして狸。

振り向いたその姿の見事な野生美。

光で照らされても逃げないで、ドロボー風の目マスクもくっきりと我々をじーっと暫く見つめて、大胆不敵、又食べ始めました。

「へーイ! 狸見たい人!出ておいで」

家の中に声をかけると、親父さんが飛び出てきました。

「毛皮のコートにしても、襟巻きにしても上等のが出来そうね。」皆でこの狸の野生美を褒め称えました。

鶏さんが狙われるときはひたすら狸憎し。こんな余裕はないのです。

そして、今宵は満天の星。

「柄杓星がこれで、ほらほら流れ星」

しばらく星空に見入っていた私たち。

娘 「ちょっとお父さん! 何もっているの?」

お父さんは、息子のコレクションの 16世紀風の ”十手” を持って飛び出してきていたのです。

やはり天下泰平