Diseases can be cured by oneself
More Teachings of Silver Birch
Edited by A.W. Austen
サークルのメンバーの一人で心霊治療家を目指している人が自分の病気を話題に出した。するとシルバーバーチは言下に───
「その病気を追い出してしまいなさい。自分は絶対に病気にはならないのだと自分に言い聞かせるのです〝医者よ、汝みずからを癒せよ〟───この古い言葉をご存じでしょう」(ルカ4・23)
───そのことを考えたことはあります。やはり病気は自分で治せるのでしょうか。
「治せるだけでなく、げんに治しております。魂の優位を主張し、肉体という下等なものによって束縛され抑えられることを拒否することによって病気を追い払うのです。身体を従者にするのです。主人にしてはなりません。誰にでも出来ることです。ですが、大部分の人間は頭から出来ないものと思い込んでいます。だから出来ないのです。
肉体は精神の従僕です。精神は肉体に隷属しているのではありません。肉体は束の間の存在であり精神は永遠の存在です。肉体はいずれ朽ち果てます。精神が宿っている間だけ現在の形態を維持している一時的な存在です。それがその人ではありません。その人の表現体であり、道具であり、地上で認識してもらうための手段です。
その肉体が精神によって歩きまわることを教わり、筋肉を動かすことを教わり、血液を循環させることを教わり、心臓を鼓動させることを教わり、内臓の全ての機能を働かせることを教わったごとくに、こんどはその(リズムを狂わせている)機能に本来のリズムを取り戻させることによって病気や疾患や異常を無くしてしまうことができるはずなのです」
───ということは誰でも自分で健康を回復できるということでしょうか。
「まさにその通りです。ただしそのためには〝自分は神である。無限の創造活動の一部を担う存在である。全生命への責任を担う霊的存在である。本来は完全なる霊なのだ〟と宣言できる段階まで悟りができなくてはなりません」
ここで別のメンバーがその教えはクリスチャン・サイエンス(※)と同じであることを指摘した。
(※信仰治療または信念によって自らを治すことを主義とした新興宗教の一派で、メアリ・エディという女性霊媒者によって創設された。が、この後でシルバーバーチも指摘するように肉体は無いと思えと説いたところに間違いがあり、それを死後 『霊界からのエディの告白』 と題する懺悔の通信の中で認めている。
霊感の鋭い人で霊的事実についての理解はあったが、豪華な教会を建ててやろうという野心が自分を過らせたと告白している───訳者)
「私はいわゆるクリスチャン・サイエンスが説く真理を全面的に否定はしません。かなりの程度まで正しい教えを説いておりますが、その多くが脇道へ外れてしまいました。物質の存在を否定するに至ったところに問題があります。
私は物質は実在するがあくまで精神の支配下にあると説いております。あなたは無限の可能性を具えた存在です。その肉体があなたではありません。
その肉体を使用している霊なのです。つまりあなたは肉体を具えた霊であって、霊を宿した肉体ではないということです。肉体は現在の形体をせいぜい五十年、六十年、あるいは七十年、もしかして百年のあいだ維持しながら次第に朽ちていき、やがて元のチリに帰ります。しかし霊はそういう経過はたどりません。不滅の素材で出来ているからです」
───私たちのすべてが治病能力を具えているのになぜ心霊治療家の存在が必要なのでしょうか。
「神の摂理を知らない人が多すぎるからです。みんなそんな摂理なんかあるわけがないと思い込み、健康を回復する法則を実践できる段階まで意識を高めることが出来ないと決めてかかっているからです。神の摂理に従って生きれば病気も異常も生じません。
肉体に異常が生じるのは摂理に反した生き方をしているからです。(霊と精神と肉体の)調和が乱れると病気になり、自分自身の努力、または霊界からの治療エネルギーによって調和を取り戻すまでその状態が続きます」
───自分で治した場合でも霊界からの援助を受けているのでしょうか。
「そういう場合もあり、そうでない場合もあります。というのは、人間は常に何らかの思念、観念、エネルギーといった影響力をまわりから受けているからです。しかし同時にあなた方も霊であり、生命の大霊の一部であり、その無限の貯蔵庫からエネルギーを引き出して我がものとし、ふだんより大きな力を発揮できるのです。
人類が今の段階ですでに進化の頂上に到達したと思われますか。現在の文明の状態を見れば、まだまだ人類には成長と進化の余地があることが明白ではないでしょうか。
あなた方も神性を宿しておられるのです。ほんの小さな火花にすぎませんが、人間の一人ひとりに宿されているのです。その火花を煽(あお)いで大きな炎とするか、それとも手入れを怠って消えてしまいそうにするか、それは各自の自由意志によってみずからが決めていくことです。誰も代わって決めることは出来ないからです。
各自が自分の運命の裁決者なのです。自分の未来を自分で形成していくのです。神性を発揮するか否かはあなた方自身が選択することです。代わって選択してあげようにも出来ないのです。向上進化は自分が自覚しない限り、側から促進してあげることはできません」
───各自に神が宿っているのであれば、自然に発揮されてくるのではないでしょうか。
「夏の盛りの大自然の美事な景観をご覧になれば、その背後にそれだけのものを発揮する種子が宿されていたはずだとは思われませんか。例えばバラのあの可憐な花びらと芳しい香りもみな一個の小さな種子の中に宿されていたのであり、それがまずつぼみの形で顕現されます。
バラの美しさのすべてがそこに宿されているのですが、それはつぼみが開かないことには発揮されません。あなた方の魂には神が宿っております。そのつながりは永遠であり、決して断絶はありません。しかし、その神の属性をどれだけ発揮するかは各自が決めることです」
心霊治療はどういうメカニズムで病気を治すのか、治療家と患者との間にどういう関係が生じるのかを問われて───
「賦活性を持った放射線が注入されるのです。病気に応じて種類が異なります。どういうものかと言われても、地上にはそれに類するものが見当たりませんので説明できません。たとえばX線、無線、磁気、電気といったものもあくまで〝用語〟であって、本質を伝えてはいません。
要するにこちらの世界には病気を癒す力を持った放射線、エネルギー───どう呼ばれても結構です───が存在し、それを使用するのです。賦活性をもった生命力の一種で、それを人類のために使用できるまでに進化した霊が駆使しているのです。
霊的啓示を授ける者が叡知の泉から汲み上げるように、心霊治療家は健康の泉から治癒力を汲み上げることができます。同じく、必要な物的証拠を提供する霊は、地上でまだ知られていない何種類かの気体を使用しています。すべての生命が刻一刻と進化していることを認識して下さい。
学問は墓場で終わるのではありません。開発は死とともにストップするのではありません。霊魂は叡知を蓄積しつつ、どこまでも前進し続けます」
別の日の交霊会で治療を妨げる最大の障害物は患者の不安と取り越し苦労であることをシルバーバーチが指摘すると、メンバーの一人がすかさず質問した。
───心配するのもやむを得ないこともあるのではないでしょうか。それとも、心配することは絶対にいけませんか。
「いいとかいけないとかの問題ではありません。その念が連絡の通路を塞いでしまうのです。治療エネルギーの流れを妨げ、近づけなくしてしまうのです。心配の念を抱くとそれが大気に響いて、その人のまわりにわれわれの進入を妨げる雰囲気をこしらえてしまいます。
冷静で受容的雰囲気でいてくれれば容易に接近できます。確信を抱いている時、完全な信頼心を抱いてくれている時は接触が容易です。信念が完全に近づけば近づくほど、自信が深まれば深まるほど、それだけわれわれとの接触が緊密になります」
この心霊治療を医事法違反として規制する法案が英国議会に提出されたときシルバーバーチは、たとえ全議員がそれに賛成しても、たとえ権力者のすべてが支持しても、たとえ教会のすべてがこぞって同意しても、心霊治療を地上から撲滅してしまうことは出来ないと述べてから、こう続けた。
「神の業であるからには心霊治療はそうしたものを乗り越えて存在しますし、また存続させねばなりません。私たちが啓示している自然法則は人間の法律によって成立するものではありませんし、その普及が妨げられるものでもありません。私どもは誤まることを避け難い人間がこしらえた法律にはまったく関心がありません。
神の法則、不変、不易にして不可変、全知全能の摂理、無始の過去より存在し無窮の未来まで存続しつづける摂理を説いているのです。人間がわれわれのこと並びにわれわれの説く真理のことにどうケチを付けようと一向に構いません。
かつて地上世界の改革に努力した人々、理想に燃えて同胞のために献身した人々は、人類の最先端を歩んでいたために、進化の階梯において一歩先んじていたために、侮(あなど)りと蔑(さげす)みと嘲(あざけ)りを耐え忍ばねばなりませんでした。
そして使命を終えてこちらへ来ると、後世の人間は彼らのことを人類の模範として崇拝し、そうしながら一方では同時代の超能力者をはりつけにして葬りました。真理というものは確立されるまでには数々の闘いに打ち勝たねばならないものなのです。
恐れてはなりません。われわれのすべてに存在を与えてくれている力、地上のために私たちを地上へ派遣してくださっている力、あなた方にみずから体現させてあげたいと私たちが望んでいるところの力は、宇宙の全生命を創造した力と同じものなのです。それはあなた方の方から見捨てない限りあなた方を見捨てることはありません。
地球はこれからもずっと地軸を中心に回転し続けます。太陽はこれからもずっと輝き続けます。すべての天体が定められたコースを運行し続けます。潮は満ち引きを繰り返し、春の後には夏が、夏の後には秋が、秋のあとには冬がめぐってきます。
それはその背後で支える力が無限であり誤まることが無いからです。これだけの大自然の見事なスペクタクル(壮観・美観)を目の前にしながらあなた方は、それと同じ霊力が地上世界のことでしくじりを犯すことがあり得ると思われますか。
その霊力を顕現させる道具が存在するかぎり、人のために役立ちたいと願う男性あるいは女性がいて下さるかぎり、私たちは病気に苦しむ人を癒し、生命が墓地の向こうにも存在することを証明し、永遠の霊的実在の証(あかし)を提供し続けます。
そうすることが物質万能主義を永遠に駆逐し、霊の働きかけの実在を曖昧なものにしてきた教条主義の暗闇を排除し、奉仕を基調とする真の宗教を確立することになるからです」
では、そもそも病気とは何であろうか。シルバーバーチはこれを霊と精神と肉体の三位一体の協調関係が崩れた状態であるという。ではそれを崩す原因は何であろうか。純粋な精神的原因、純粋な霊的原因というものがあるのであろうか。
前生との関係は? 病気というものが人生に於ける最大の苦痛の原因であるだけに、心霊治療の問題は人生そのものの問題であるともいえる。その解答を次の問答から読み取っていただきたい。まずシルバーバーチがこう述べた。
「物的身体と霊的身体との間に相関関係があり、両者は絶え間なく反応し合っております。物的身体は霊的身体にその存在自体を依存しており、霊的身体は物的身体にその表現を依存しております。物的身体を通して獲得する経験が霊的身体の成長を決定づけていきます」
───肉体は幽体を原型としているのですか。
「そうです」
───となると病気になった場合は幽体を治療すべきなのでしょうか。
「必ずしもそうではありません。病気の原因がどこにあるかによります。純粋に霊体から来ているものであれば霊体を治療することによって治せます。が、原因が純粋に肉体的なものであれば、霊的方法よりは物的方法の方が効果があります。
ご承知の通り、あなたは今の時点でも霊魂です。ただ、こうして霊的身体と同時に物的身体を通して表現している間は、物的世界のことは物的身体を通して感得しております。そして、物的世界に生じたことは物的身体に影響を及ぼすと同時に霊的身体にも影響を及ぼします。
同時に、霊的身体へ影響を及ぼすものはことごとく物的身体へも影響を及ぼします。かくして、両者の間の作用と反作用が絶え間なく行われております。物的、精神的、霊的の三つの影響力の間に絶え間ない相互関係が営まれております」
(訳者注───精神は霊が肉体を操作するためのコントロールルームのような存在で、霊にとっては実質があり実感がある)
───伝染病は純粋に物的原因によるのでしょうか。
「必ずしもそうではありません。実際は肉体に原因があるのではなくて霊に原因がある病気も数多くあります」
───それはどんな原因があるのでしょうか。
「利己主義、強欲、金銭欲。イエスが、治療した患者に〝汝の罪は赦されたり〟と述べた話はご存じでしょう。病気の原因には物的なものと霊的なものの二種類があることを知らねばなりません。どちらの場合でも同じ方法で治すことも不可能ではありませんが、物的な治療法の方が効果が大きい病気があります。
病気の影響が霊的身体にまで及んでいる場合があり、あるいは霊的身体にそもそもの原因がある場合もありますが、霊的身体そのものが病気になることはありません。物的身体との相互関係の異常に過ぎません。その異常がバイブレーションを乱し、物的身体との関係を乱し、それが病気となって現われます。
怒りが脾臓を傷めることがあります。嫉妬心が肝臓を傷めることがあります。そうした悪感情が異常の原因となり、バランスが崩れ、調和が乱れます。病気が進行してバランスが完全に崩れてしまうと霊的身体が脱出のやむなきに至ります。それが死です」
───腕を失った場合、それは幽体の腕にどんな影響を及ぼしますか。
「幽体の腕に影響が及ぶような事態は決して起きません。両者の相互関係の欠如という事態にはなります。が、幽体の腕は肉体に宿っている間は働こうにも働けません。それはともかくとして、私たちの口から〝この病気は治りません〟という言葉をお聞きになったことはないでしょう。治る望みは必ずあります。ただ、そのためにいろいろと考慮しなければならない要素があるということです。
人間には物的身体と霊的身体とがあり、両者は生命の紐、言うなれば命綱で結ばれております。病気、異状、あるいは年齢といったものが物的身体に忍び寄るにつれて両者の相互関係が次第に緊密度を失ってまいります。そうした中で物的世界からの離脱の準備が進行しているわけです。
病気には物的、精神的、霊的の三つの原因があります。骨折も霊的に治すことが出来ないことはありませんが、物理的な手当の方が簡単でしょう」
───遺伝子疾患と神の公正とをどう結び付けられますか。
「地上へ生を享ける時は因果律によってその霊が当然宿るべき身体に宿ります。前世で身に付けたものを携えて現世をスタートいたします。前世を終えた時点でふさわしいものを携えて再生するのです。遺伝的疾患も少しも不公平ではありません。(前世に照らして)これからの進化にとって必要なものを成就するのにふさわしい身体を与えられるのです」
───心霊治療によって治る人と治らない人がいます。患者と魂の進化という観点から見て種類が異なるのでしょうか。
「そうではありません。誰であろうと霊界へ旅立つべき時がくれば、いかなる治療家もそれを阻止することはできません」
───でも、治療家のところへ行かなかったらもっと早く死んでいたということもあるでしょう。
「それも数日かそこいらの話です。永遠の時の中でそれがどれ程の意味があるのでしょう」
───だったらいっそのこと心霊治療家も要らないことになりませんか。
「そうはまいりません。苦しむ人を救ってあげたいという情は神の心の自然の発露だからです。人間の病気や異状の多くは魂の進化の程度の低さに由来するのではなく、無知から神の摂理に反した生き方をするからです。もっとも、神の摂理に反した生き方をするのは、その摂理が理解できる段階まで魂が到達していないから、と言う観方もできることは確かです。魂が摂理と一体となる段階にまで進化すれば病気は生じません」
───二人の人間が同じ病気で苦しんでいて、一方は治り他方は治らないという場合がありますが、これは不公平ではないでしょうか。
「そもそも心霊治療家のところへ足を運ぶということ自体、偶然のことと思われますか。偶然ではありません。偶然というものはあなたの世界にも私の世界にも存在しないのです。断言します───神の摂理は完璧です。いずれあなたもその働きを理解し、その完璧な摂理をこしらえた完全なる愛の存在を知って、私と同じように、まるで鉄鎚を食わされたような思いをなさる日が来るでしょう。
私たちはすべて───私も同じなのです───暗闇の中で手探りで進みながら時おり光明の閃きを見つけ、摂理への洞察力を手にします。そこで感嘆します。しかし暗闇の中にいる限り摂理の全貌が見えませんから、私たちはそれをとかく偶然のせいにし、運よくそうなったのだと考えます。しかし、断言しますが、偶然というものは存在しません。
そう言うと皆さんはきっと〝では自由意志の問題はどうなるのか〟と聞かれるでしょう。確かに人間には自由意志が与えられております。が、その自由意志の範囲は魂の進化の程度によって規制されると申し上げたはずです。
自由は自由です。が、その自由にも程度があるということです。自由は自由です。が、それも宇宙の法則、すべてを経綸している法則の中における自由だということです。宇宙最大の組織であろうと極小の生命体であろうと、その法則から逃れることはできません。何ものも神の摂理から逃れることはできません。完璧なのです」
───心霊治療家と磁気治療とはどういう点が違うのでしょうか。
「まったく違います。磁気治療は治療家自身の持つエネルギーによって治します。心霊治療は治療家が背後のスピリットの波長と一体となり、通常の手段では物質界に感応しない霊波がその治療家を通して流れ込むのです」
───一卵性双生児が同じ病気にかかり医学では不治と診断されて見放された場合、霊界からの力で二人とも治すことができるでしょうか。
「私にはどちらとも言えません。病気の軽減及び治療のための霊力はちゃんと存在しますが、それがどう活用されるかは、その霊力が流れる治療家の適合性にかかっています。現段階における地上世界はまだ神の治癒力の活用がその頂点まで達しておりません。治療家が霊的に向上すれば、それだけ多くの治癒力が流れます。私たち霊界側の問題であると同時にあなたがた地上側の問題でもあります。
所詮われわれは媒介役に過ぎません。この霊媒(バーバネル)の背後にこの私(シルバーバーチ)がいます。この私の背後に私より高い存在が控えており、その背後にさらに高い存在が控えています。その連鎖関係は無限に続いているのです」
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