The Life Beyond the Veil Vol. II The Highlands of Heaven by G. V. Owen
五章 天界の科学1 エネルギーの転換
一九一三年十二月二日 火曜日
今夜はエネルギーの転換に関連した幾つかの問題を取り上げてみよう。ここでいうエネルギーとは上層界の意念の作用を人間の心へ反映させていくための媒体と理解していただきたい。
吾々が意図することを意念の作用を利用して、いわゆるバイブレーションによって中間界を通過させて地上界へと送り届けるよう鍛錬しているのである。私がエネルギーと呼ぶのはこのバイブレーションの作用のことである。
さて、こうして地上の用語を使用する以上は、天界の科学を正確に、あるいは十分に表現するには不適当な手段を用いていることになることを理解していただかねばならない。
それ故、当然、その用語の意味を限定する必要が生じる。私がバイブレーションという用語を用いる時は、単なる往復振動のことではなく、時には楕円運動、時には螺旋運動、更にはこれらが絡み合い、それに他の要素が加わったものを意味するものと思われたい。
この観点からすれば、最近ようやく人間界の科学でも明らかにされ始めたバイブレーションの原子的構造は、太陽系の組織、更には遥か彼方の天体の組織と同一なのである。
太陽をめぐる地球の動きも原子内の素粒子の動きもともにバイブレーションである。
その規模は問わぬ。つまり運動の半径が極微であろうが極大であろうが、本質的には同じものであり、規模において異なるのみである。
が、エネルギーの転換はいかなる組織にも運動の変化をもたらし、運動の性質が変われば当然その結果にも変化が生じる。かくて吾々は常に吾々より更に高級にして叡智に富む神霊によって定められた法則に沿いつつ、意念をバイブレーションの動きに集中的に作用させて質の異なるバイブレーションに転換し、そこに変化を生じさせる。
これを吾々は大体において段階的にゆっくりと行う。計算どおりの質的転換、大きすぎもせず小さすぎもしない正確な変化をもたらすためである。
吾々が人間の行為ならびに自然界の営みを扱うのも実はこの方法によるのである。それを受持つ集団は鉱物・植物・動物・人間・地球・太陽・惑星の各分野において段階的に幾層にも別れている。更にその上に星辰の世界全体を経綸する神庁が控えている。
混沌たる物質が次第に形を整え、天体となり、更にその表面に植物や動物の生命が誕生するに至るのも、全てこのエネルギーの転換による。が、これで判っていただけると思うが、いかなる生命も、いかなる発達も、すべて霊的存在の意志に沿った霊的エネルギーの作用の結果なのである。
この事実を掌握すれば、宇宙に無目的の作用は存在せず、作用には必ず意図がある───一定範囲の自由は許されつつも、規定された法則に従って働く各段階の知的にして強力な霊的存在の意図があることに理解がゆくであろう。
更に、物質自体が実は霊的バイブレーションを鈍重なものに転換された状態なのである。それが今、地上の科学者によって分析されつつあり、物質とはバイブレーションの状態にあり、いかなる分子も静止しているものは無く、絶え間なく振動しているとの結論に到達している。
これは正解である。が、最終結論とは言えない。まだ物質を究極まで追跡しきってはいないからである。より正確に表現すれば、物質がバイブレーションの状態にあるのではなく、物質そのものが一種のバイブレーションであり、より精妙なバイブレーションの転換されたものである。その源は物質の現象界ではなく、その本性に相応しい霊界にある。
これで貴殿も、いよいよその肉体を棄てる時が到来したとき、何の不都合もなく肉体なき存在となれることが理解できるであろう。地上の肉体は各種のバイブレーションの固まりに過ぎず、それ以上のものではないのである。
有難いことに今の貴殿にも肉体より一層実体のある、そして耐久性のある別のバイブレーションで出来た身体が具わっている。肉体より一段と精妙で、それを創造し維持している造化の根源により近い存在だからである。
その身体は、死後、下層界を旅するのに使用され、霊的に向上するにつれて、更に恒久性のある崇高な性質を帯びた身体へと転換される。この過程は延々と限りなく繰り返され、無限の向上の道を栄光よりさらに高き栄光へと進化してゆくのである。
そのことは又、死後の下層界が地上の人間に見えないのと同じく、下層界の者には通常は上層界が見えないことも意味する。かくて吾々は一界また一界と栄光への道を歩むのである。
まさしくそうである。貴殿もいつの日かこちらへ来れば、このことをより一層明確に理解するであろう。と申すのも、今述べたバイブレーションの原理も貴殿は日常生活において常時使用しており、他の全ての人間も同じく使用しているにも拘わらず、その実相については皆目理解していないからである。
吾らは持てる力を神の栄光と崇拝のために使用すべく、鋭意努力している。願わくば人間がその努力に一体となって協力してくれることが望ましい。
一丸となれば、善用も悪用も出来るその力が現在の人間の知識を遥かに超えたものであることを知るであろう。蠅や蟻の知能を凌ぐほどに。
吾々は、有難いことに、知識と崇高さにおける進歩が常に対等であるように調整することが出来る。完璧とは言えないが、ある範囲内───広範囲ではあるが確固とした範囲内において可能である。もしも可能でないとしたら地上は今日見るが如きものでは有り得ず、また今ほどの秩序ある活動は見られないであろう。
もっとも、これも人類に対する吾々の仕事の一側面に過ぎない。そして人類の未来に何が待ち受けているかは私にも何とも言えない。霊的真理の世界へこれより人類がどこまで踏み込むかを推測するほどには、私は先が見えない。まだその世界への門をくぐり抜けたばかりだからである。
が、大いなる叡智をもって油断なく見守る天使によっても、こののちも万事よきに計らわれるであろう。天使の支配のある限り、万事うまく行くことであろう。 ♰
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