Friday, July 21, 2023

シアトルの夏 怒り

anger

スピリティズムによる福音の通販/アラン・カルデック/角 智織 - 紙の本:honto本の通販ストア


 自尊心は、あなたたちを実際以上に偉大であると思い込ませます。あなたが卑しめられるような比較には耐えられなくさせます。

反対に、霊的にも社会的にも、また、個人的な長所においても、あなたは自分の兄弟よりもずっと上にいるのだと考え、下級の者があなたを苛立たせ、がっかりさせるのだと考えるようにさせます。すると何か生まれるでしょうか。そう、あなたは怒りに身を任せることになるのです。

 あなたを凶暴な者と同じくし、冷静さと理性を失わせる、この一時的な狂気に駆られる原因を調べてみて下さい。調べてみればほとんどいつも、傷つけられた自尊心をそこに見つけることが出来るでしょう。

もっともよく熟考された忠告に対して、あなたが苛立ち、拒絶するのは、あなたの自尊心が否認されたこと以外にどんな理由があるというのでしょうか。各々が自分自身を他人より重要であると考えていることが取るに足りない不満の原因となっている辛抱のなさをも生んでいるのです。

 かんしゃくを起すと、怒りっぽい人間はすべてに対して当り散らします。自分の粗暴な性格や、動かぬ物体にあたり、自分の言うことに従わないとそれらを破壊します。ああ、その時、冷静に自分を見つめることが出来たなら、自分自身を恐れるか、あるいは自分自身の愚かさを知ることが出来るでしょう。

その時他人に対してどんな印象を与えたかを想像して見てください。それがたとえ、単なる自分への尊敬の気持ちからくるものでなかったとしても、私たちは自分を憐れみの対象としてしまう傾向には打ち勝つ努力をするべきです。

 怒りはどんな薬でも抑えることが出来ず、健康を害し、命までも危うくするということを考えれば、自分自身が自分の怒りの第一の犠牲者となっていることが認識できるでしょう。しかし何よりも、頭に入れておかなければならないもう一つの考えは、怒ることによって周りにいる人たちを不幸にしてしまうということです。

心を持っているのなら、最も愛する相手を苦しめることは、後悔に値することではないでしょうか。怒りの発作の時、その人を一生嘆き悲しませるような行動を取ってしまったら、私たちの良心はその責任をひどく重く感じることになるでしょう。

 つまり、怒りは、心から良心を奪いはしませんが、私たちにどんな善行をも行うことを妨げ、私たちを悪行に導くのです。そうした理由だけで、人類は怒りというこの悪い特徴を克服する努力をするに十分に値します。

ましてスピリティストであるならば、もう一つの理由によって努力しなければなりません。それは、怒りがキリスト教徒の慎ましさと慈善に反する、という理由です。(ある守護霊 ポルドー、1863年)

 自分自身の性格は変えることができないという大きく誤った考えは、人をわがままにさせ、多くの忍耐によってのみ根絶することのできる自分の欠点を改める努力は免除されているのだと判断させてしまいます。例えば、怒りっぽい傾向にある人は、大抵それを自分の気質のせいにします。

自分自身の責任であることを認める代わりに、肉体組織のせい、神のせいにし、自分の犯した失敗に対しても同様の態度をとります。これもあらゆる不完全性の一つとして残る自尊心がある結果です。

 気質がより暴力的な行動に結びつくことは疑いようもなく、それは柔らかな筋肉の方が力を出す時によく働くのと同じです。しかし、そこに怒りの本質的な原因が存在するのだと信じてはならず、平和を好む霊は、胆汁質の肉体を持っていても常に平静を保ち、暴力的な霊は粘液質の肉体を持っていても温和ではないということを理解する必要があります。

穏和な時にのみ、暴力は別の性格に変わり、怒りは収縮され、他の場合には怒りは活発になります。肉体は、怒りを持たぬ者には怒りを生まず、同様に他の悪癖も生みません。

いかなる美徳も、いかなる悪癖も、霊に帰するものです。そうでなければ、長所や責任感と言うのはどこに在ると言えるのでしょうか。身体が不自由な者は、それが霊と係わっていないために、元の形に戻ることはできません。

しかし、揺るがぬ意志さえあれば、霊に係ることは変化させることができます。目の前で行われるほんとうに奇跡的な変化を経験したあなたたちスピリティストに、意志の力でどこまで行くことが出来るのかが教えられていないでしょうか。

人間は自分が悪癖を保ちたいと思わなければ、悪癖を保ち続けることはないということを納得してください。自分を改めたいと望む者は必ず改めることが出来るのです。でなければ、進歩の法は人類のために存在しないことになります。(ハンネマン パリ、1863年)

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