Saturday, February 4, 2023

シアトルの冬 真理なるものは常に秘宝的要素をもつ。     Truth always has a mystical element.


 モーゼスの霊訓


  真理なるものは常に秘宝的要素をもつ。

必然的にそうなるのである。何となれば真理はそれを受け入れる用意のある魂にのみ受け入れられるものだからである。

このことを篤と心に留めておかれたい。

さらにまた、受け入れる用意の出来ていない者に押し付けることは真理を粗暴に扱うことになり、汝にとっては天啓ではあってもそうとは思えぬ者には取り返しのつかぬ害すら及ぼしかねぬことも心されたい。
 

さらに忘れてならぬことは、真理のための真理探究を、人生の至上目的として生きることこそ、地上にありて最高の目標であり、いかなる地上的大望よりも尊く、人間の為し得るいかなる仕事にもまして気高きものであるということである。

人間生活に充満する俗悪なる野心は今は取り合わぬ。虚栄より生まれ、嫉妬の中に育まれ、ついには失望に終わる人類の闘争と野心───これは粉(まご)うかたなきソドムの林檎⑦である。

然るに一方には目覚めし魂への密かなる誘惑───同胞のために善行を施し、先駆者の積み上げたケルン⑧にもう一つの石を積み上げんとする心である。

彼らは己の生活を大きく変革する真理を熱誠を込めて広めんと勇み立つ。

すでにその真理に夢中である。胸に炎が燃え上がり、その訓えを同胞へ説く。

その説くところは気高きものかもしれぬ。そして、もし聞く者の欲求に叶えば同類の心にこだまして魂を揺るがせ、何らかの益をもたらすかも知れぬ。

が、その逆となるかも知れぬ。ある者にとっては真理と思えることはその者にとって真実であるに過ぎず、その声は荒野に呼ばわる声に過ぎず、聞く者の耳には戯言(たわごと)にしか響かぬ。

彼の殊勝なる行為が無駄に終わる。それだけのエネルギーを一層の真理の探究のために温存し、人に説くまえにより多くを学ぶべきであった。
教えることは結構である。しかし学ぶことはさらに望ましい。また両者を両立させることも不可能ではない。

ただ、学ぶことが教えることに先立つものであることを忘れてはならぬ。そして真理こそ魂が何よりも必要とするものであることを、しかと心得よ。

真理を宿す神秘の園に奥深く分け入る求道者は、その真理が静かに憩う聖域を無謀に荒らすことがあってはならぬ。

その美しさはつい語りたくなるであろう。

己が得た心の慰安を聞く耳を持つ者に喧伝したく思うかも知れぬ。

が、己の魂の深奥に神聖なる控えの間、清き静寂、人に語るには余りに純粋にして、余りに貴重なる秘密の啓示を確保しておかねばならぬ。


 〔ここで大して重要でない質問をしたのに対してこう綴られた───〕 

違う。それについてはいずれ教えることになろう。

われらは汝自身の試練の一つであるものを肩代わりすることは出来ぬ。迷わずに、今歩める道を突き進むがよい。

それが真理へ直接続く道である。しかし不安と苦痛の中を歩まねばならぬ。

これまで導いた道は、汝には過去の叡智を摂り入れ先駆者に学ぶ必要があると観たからである。

地上とわれらの世界との交霊関係の正道を歩まんとする者は、その最も通俗的な現象面にまとわりつく愚行と欺瞞によって痛撃を食らうであろうことは、早くより予期していた。

愚行と欺瞞が横行するであろう時を覚悟して待ち、これに備えてきた。

その学問には過去の神秘学と同じく二つの側面があり、またそうあらねばならぬことを教えたく思う。一つの側面を卒業した今、汝は今ひとつの側面を理解せねばならぬ。
 

そのためには、人間と交信せんとする霊が如何なる素性のものであるかを知らねばならぬ。

それを措いて今汝を悩ませる謎を正しく読み取ることは出来ぬ。

一体真理なるものが如何なる方法によりいかなる条件のもとに得られるものであるか、また如何にすれば誤謬と策謀と軽薄なる行為と愚行とを避け得るかを知らねばならぬ。

人間が安全な態勢でわれらの世界との関わりをもつには予めこうしたことを全て理解せねばならぬ。

しかも、それを学び終えた暁、あるいは学びつつある時も、その成功如何は殆ど、あるいは全て人間側にかかっていることを忘れてはならぬ。

我欲を抑え、最奥の魂を清め、不純なる心を悪疫として追い払い、目差す目的を出来得るかぎり崇高なるものとせよ。

真理を万人が頭をたれるべき神そのものとして崇敬せよ。

いずこへ至るかを案ずることなく、ひたすらに真理の探究を人生の目的とせよ。

そうすれば神の使徒が汝を見守り、その魂の奥に真理の光を見出すことであろう。
                               ♰ イムペレーター

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