Thursday, July 28, 2011

シアトルの人たち 隣のメグさん



アメリカ人は近所付き合いをしないということは、よく知られていますが、われらが隣のメグさんは、日本の昔の隣のおばさんのようにフレンドリーで、私たちとの間ではよく手作りのパイやクッキーが行ったり来たりしていました。

有る夜の9時頃、「クッキーを作っているけれど、卵が2個足りない」と電話が掛かってきました。
「よしやっ」とお爺さんとテレビを見ていたお父さんが、ドラマを中断して届けてあげました。

「日本の向こう三軒両隣では良くあることだけれど、頼んだ者は自分で取りに来るものだよ」と、お父さんに言ってあげると。「まあ、いいさ」と再びドラマに見入っておりました。

そのメグさんが数ヶ月前の夜の9時頃、「自分の家がわからない」と我が家のドアーをノックしてきました。
「あんたの家はとなりだよ。」とお父さんが指差したので、彼女は自分の家に戻ったそうですけれど何かおかしいと、次の日娘とクッキーを焼いて持っていってあげました。

同居人のケンさんもいて、彼女がアルツハイマーだと言うことを教えてくれました。
ここのところ急速に悪くなってきている。といっています。

その後程なく、彼女は遠くの療養所に行ってしまいました。

「私たちのこと、もう忘れてしまっているかしらね?」と時々娘と話しています。
綺麗だったメグさんの庭が、荒れてきてしまっているのが無常です。

2 comments:

  1. 何だか哀しいですね。
    アルツハイマー症というのは回復しないのでしょうか。
    荒れ果てた庭が物悲しく感じられます。
    主を失った庭には草が生え放題なのでしょう。
    良い思い出だけを覚えていてほしいけれど…

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  2. あるじなきとも春な忘れそ  
    と言う雰囲気ですよ。

    庭が泣いています。

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