Silver Birch Companion
Edited by Tony Ortzen
本章に集めた質疑応答は霊言集の読者から寄せられた投書を中心にしたもので、霊媒のバーバネルには前もって見せないことになっているが、シルバーバーチの答えは、それが読み上げられた次の瞬間に出る。
───霊界の指導者は、地上の政治的組織にどの程度まで関与するのでしょうか。〝人類はみな兄弟〟の理念にそって指導するのでしょうか、それとも各国独自の計画にそって指導するのでしょうか。
「ご承知のとおり私たちは、人間がとかく付けたがる肩書(ラベル)きにはこだわりません。政党というものにも関与しません。私たちが関心を向けるのはどうすれば人類にとってためになるかということです。
私たちの目に映る地上世界は、悪習と不正と既成の権力とが氾濫し、それが神の豊かな恩恵が自由に行きわたるのを妨げております。そこで私たちは、その元凶である利己主義の勢力に立ち向かっているのです。永遠の宣戦を布告しているのです。
そのための道具となる人であれば、いかなる党派の人であっても、いかなる宗派の人であっても、いかなる信仰をもった人であっても、時と場所を選ばずに働きかけて、改革なり、改善なり、改良なり、一語にして言えば〝奉仕〟のために活用します」
───それには本人の自由意思はどの程度まで関わっているのでしょうか。
「自由意思の占める要素はきわめて重大です。ただ、忘れてならないのは、自由意思という用語には、一つの矛盾が含まれていることです。いかなる意志でも、自らの力ではいかんともし難い環境条件、どうしても従いざるを得ないものによって支配されています。
物的要素があり、国の法律があり、宇宙の法則があり、それが各自の霊的進化の程度の問題があります。
℘114
そうした条件を考慮しつつ私たちは、人類の進歩に役立つことなら何でも影響力を行使します。あなた方の自由意識に干渉することは許されませんが、人間生活において、より良い、そして理にかなった判断をするよう指導することはできます。
前にもお話したことがありますが、私たちにとって最も辛い思いをさせられるのは、時として苦境にある人を目の前にしながら、その苦境を乗り切ることがその人の魂の成長にとって、個性の開発にとって、また霊的強化にとって薬になるとの判断から、何の手出しもせずに傍観せざるを得ないことがあることです。
各自に自由意思があります。が、それをいかに行使するかは、各自の精神的視野、霊的進化の程度、成長の度合いが関わってきます。それを、私たちが許される範囲内でお手伝いをするということです」
───各国の指導的立場にある人々の背後でも指導霊が働いているのでしょうか。
「すべての国にそれなりの計画が用意されております。すべての生命に計画があるからです。地上で国家的な仕事に邁進してきた人は、死の過程をへたあとも、それをやめてしまうわけではありません。
そんなことで愛国心が消えるものではありません。愛国心は純粋な愛の表現ですから、その人の力は、引き続きかつての母国のために使用されます。
さらに向上すれば、国家的意識ないし国境的概念が消えて、すべては神の子という共通の霊的認識が芽生えてきます。しかし私どもは、あらゆる形での愛を有効に活用します。
少なくても一個の国家を愛し、それに身を捧げんとする人間の方が、愛の意識が芽生えず、役に立つことを何一つしない人間よりはましです」
───人類の福祉の促進のために、霊界の科学者が地上の科学者にインスピレーションを送ることはあるのでしょうか。
「あえて断言しますが、地上世界にとっても恵み、発明・発見の類のほとんど全部が霊界から発しております。人間の精神は、霊界のより大きな精神が新たな恵みをもたらすために使用する受け皿のようなものです。
しかし、その分量にも限度があるということを忘れないでください。残念ながら人間の霊的成長と理解力の不足のために、せっかくのインスピレーションが悪用されているケースが多いのです。科学的技術が建設のためでなく破壊のために使用され、人類にとっての恩恵でなくなっているのです」
───そちらからのインスピレーションの中には悪魔的発明もあるのでしょう?
「あります。霊界は善人ばかりの世界ではありません。きわめて地上とよく似た自然な世界です。地上世界から性質(タチ)の悪い人間を送り込むことを止めてくれない限り、私たちはどうしようもありません。
私たちが地上の諸悪を無くそうとするのはそのためです。こちらへ来た時にちゃんと備えができているように、待ち受ける仕事にすぐ対処できるように、地上生活で個性をしっかりと築いておく必要性を説くのはそのためです」
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